文春文庫<br> トオリヌケ キンシ

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文春文庫
トオリヌケ キンシ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 288p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167908676
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

人生の途中、はからずも厄介ごとを抱えることになった人々。でも、「たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても。根気よく探せば、どこかへ抜け道があったりする。」(「トオリヌケ キンシ」より)他人にはなかなかわかってもらえない困難に直面した人々にも、思いもよらぬ奇跡が起きる時がある――。短編の名手・加納朋子が贈る六つの物語。

(収録作品)

高校に入ってから不登校・引きこもりになってしまったある少年。ある日彼の家に、一人の少女がやってきた。少女はかつて少年に助けてもらってもらったことがあるという――。『トオリヌケ キンシ』

「ある形」を見つけてしまう能力以外はごくごく平凡な女子高生。そのふしぎな力を生物の先生は「共感覚」と分析した……。『平穏で平凡で、幸運な人生』

やさしかった母がある日豹変、家の中でいじめられるようになってしまったタクミ。つらい日々の救いは、イマジナリーフレンド(想像のお友達)の存在だった。『空蝉』

人の顔が識別できない――「相貌失認」の「僕」は、高校入学を機にそのことをカミングアウトする。あろうことかその後「僕」はある女の子から「好きです」と告白される。不思議な始まりの恋の行方は? 『フー・アー・ユー』

長く連れ添った夫人を突然に亡くし、気落ちする亀井のおじいちゃん。家の中でひとりのはずが、ある日「座敷童がいる」と言い出した!『座敷童と兎と亀と』

前日に高熱を出して受験に失敗した「俺」は、ある場所に引きこもり、自分でコントロール可能な「明晰夢」を見る日々を過ごしている。そんな中で出会った女の子「ミナノ」、彼女は夢だったのか、それとも?『この出口の無い、閉ざされた部屋で』

内容説明

「トオリヌケ キンシ」の札をきっかけに小学生のおれとクラスメイトの女子に生まれた交流を描く表題作。ひきこもった部屋で俺が聞いた彼女の告白は「夢」なのだろうか?(「この出口の無い、閉ざされた部屋で」)。たとえ行き止まりの袋小路に見えたとしても、出口はある。かならず、どこかに。6つの奇跡の物語。

著者等紹介

加納朋子[カノウトモコ]
昭和41(1966)年、福岡県北九州市生まれ。文教大学女子短期大学部卒業後、化学メーカーに勤務。平成4年、「ななつのこ」で第3回鮎川哲也賞受賞。平成6年発表の短編「ガラスの麒麟」で、第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)受賞。平成7年に退社して作家専業となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三代目 びあだいまおう

337
『心配』という文字は『心配り』と読みたい。この作品には配られた心の温かさと愛が満ちている。加納さんらしいとても素敵な短編集。どこか生きづらさを感じていたり、心の中に他人にはわからない厄介ごとを抱えていたりすること、誰にでもある。殻に閉じこもったり他人との接触を閉ざしたり、それこそ外の世界に自分自身で『トオリヌケキンシ』してしまっている人。そんな悩める健気な人たち。でもね、通り抜けられない道なんてないんだよ!あなたのことわかってくれる人や光はきっとある!他人に対して少し優しくなれる、そんな素敵な作品‼️🙇2020/09/14

さてさて

190
『他の人とは少しだけ違う病気や能力、後遺症』に苦しめられる主人公達を描いた六つの物語は、それだけ聞くと主人公たちが悩み、苦しむ陰惨な展開が予想されます。しかしそこに描かれるのは、苦悩を経て歓喜に至る物語でした。それぞれの今を必死に生きる主人公達がその先に確かな未来を見る物語。『トオリヌケキンシ』の先に続く、その先にもきっと続いているであろう未来を見るあたたかな物語。取り上げること自体とても重い内容の数々を、敢えて軽く分かりやすく読者に提示してくれた加納さん。そんな加納さんの温かい眼差しを感じる作品でした。2021/04/21

射手座の天使あきちゃん

174
他人とちょっと違う疾病や感覚、辛い過去の体験 そんなハンディキャップを乗り越えようとする「か弱い」人達を応援する加納さんの短編集6篇です。 雰囲気が「モノレール猫」に似ている「トオリヌケ キンシ」と「平穏で平凡で、幸運な人生」がお気に入りです♡ (^_^)v2018/01/07

おかむー

109
『無菌病棟より愛をこめて』以来2冊目の加納作品、といっても前作は著者の闘病記だったので、小説としては今作が初読み。これが期待以上の良作でしたよ。『たいへんよくできました』。ほんのりホラーチックでファンタジーな感触にはじまって、せつなくも温もりに満ちる優しい六篇の短編集。それぞれが行き場のない閉塞した状況から踏み出すことをテーマにした作品になっていて、このテーマ自体『無菌病棟・・・』での著者の経験が大きく活かされているのでしょうね。ここのところ当たりが多くてなんか嬉しいオススメ作品ですよ。2017/07/09

エドワード

79
人はみな、他人に話せない悩みを抱えている。人と話すことが怖ろしい少女。母親がニセモノだという思いが頭から離れない少年。人の顔が見分けられない<相貌失認>の青年。悩みながら必死に生きている様が実に健気だ。あるきっかけで悩みが解決された時、人は神の存在を信じてしまうかもしれない。「平穏で平凡で、幸運な人生」に訪れたスリリングな出来事。「座敷童と兎と亀と」の、人と人の不思議な出会い。「この出口の無い、閉ざされた部屋で」の若い男女の切なさは万感胸に迫る。ユーモラスな描写の中に、限りない共感を呼ぶ短編集だ。2017/07/23

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