文春文庫<br> ギッちょん

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文春文庫
ギッちょん

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  • サイズ 文庫判/ページ数 368p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167908294
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

「しんせかい」で第156回芥川賞を受賞した著者の、芥川賞候補作を含む初期傑作集。解説の小川洋子さんも感嘆する独特の作品世界!新芥川賞作家の傑作小説集!

「しんせかい」で第156回芥川賞を受賞。鮮烈なスタイルで現れた山下澄人の初期傑作集を待望の文庫化! 『ギッちょん』『コルバトントリ』二冊の単行本を一冊に。



〇収録作

・ギッちょん

四十過ぎてホームレスになった男。目の前を往き来するのは幼馴染み?ギッちょん?とひとりぼっちの父。(第147回芥川賞候補)

・水の音しかしない

毎朝同じ電車になる男が鬱陶しくて、時間をはやめてみたら、やはり男といっしょになった。適当に話を合わせているうちに「わたし」は窮地に陥る。

・トゥンブクトゥ

第一部 街でゆきかう老若男女の様々な思惑、殺意。第二部 海辺のサバイバル。

・コルバトントリ

わしは死なへん。お前も死なへんねん。誰も死なへん。生者も死者も人間も動物も永遠を往還する――(第150回芥川賞候補)





〇小川洋子さんによる解説を収録。

「山下澄人さんの小説を読むと、語り手も登場人物たちも皆、魂だけになってしまった人々のようだ、と思う。魂というと普通、肉体の檻から解放された、純度の高い存在の源、のようなイメージがあるが、山下さんの場合は少し違う。」



「山下さんの小説に現れるのも、この?在り間?に近いものたちだと思われる。存在する、と明確に断言するだけの自信もなく、かと言って、存在しないのだな、と問われるといや、待ってくれと言いたくなる。どっちつかずの隙間、空洞、落とし穴、のような何か。ないけれどある。あるけれどない。」



「語り手たちは皆、迷ってばかりで、自信がなく、肝心なことをすぐに忘れる。生かされている世界に圧倒され、その前でちっぽけな自分を持て余している。そんな小さな人々にしか見えない真実の風景が、ここには描かれている」

山下 澄人[ヤマシタ スミト]

内容説明

四十歳を過ぎた「わたし」の目の前を去来する、幼なじみの「ギッちょん」の姿―子供みたいにさみしく、無垢な文章。そこには別の時間が流れ、ページを繰るたびに新たな世界が立ち上がる―鮮烈なスタイルで現れた芥川賞作家・山下澄人の、芥川賞候補作「ギッちょん」「コルバトントリ」を含む初期傑作集。

著者等紹介

山下澄人[ヤマシタスミト]
1966年、兵庫県神戸市生まれ。富良野塾二期生。1996年より劇団FICTIONを主宰、作・演出を兼ねる。2011年より小説を発表。2012年書き下ろし小説『緑のさる』で第34回野間文芸新人賞受賞。2017年「しんせかい」で第156回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ユカ

37
夢とわかって夢をみているような感覚でした。解説で小川洋子さんが「魂だけになってしまった人々のようだ」と記しており、その表現が一番しっくりくるなと思いました。特別ではない、よくいる人の一生や、知り合いが大きな津波にのまれた人のこと。直接的にはまったく書かれない感情を行間から読もうとしたり、その人に何が起こっているのかを想像したり、いろいろ考えさせられる。純文学的な読み物は苦手だったけど、山下さんの作品はぐいぐい引き込まれ、ラストまで集中できた(途中で離れるとわけがわからなくなるというのもあるけれど)。2017/05/13

YO)))

29
収録作の何れもノスタルジーと殺伐との混淆の中に「わたし」が解体していくようなドラッギーさがあってヤバかったが、 一方で人物の台詞にどん語(※岡田彰布監督の口調)ぽさもあり 『声みたいなもんは、あれや、空気のあれや』 とか完全にそうよと思った。2018/05/12

百太

16
マイッタな~。2019/03/20

ぽち

11
単行本の「ギッちょん」と「コルバトントリ」を合本、4作の中編を収める。素晴らしい。山下澄人と言えば渡部直己さんが提唱したところの「移人称」と言われる、まず言えば実験的な作風が批評の対象になる作家であり、または保坂さんの言によればdon't think,feel!で、世間の評判と言えば「しんせかい」は素人の書いたような小説でこれが芥川賞受賞作か・・・というようなものらしいが、まず本書の3番目に収められている「トゥンプクトゥ」ではその人称、視点が目まぐるしく変わり続けるアブストラクトな言語「センス」が最高潮に2018/01/06

Toshi

3
「鳥の会議」を読んでいるので驚かなかったが、同様に、ワープする時間軸、視点の度重なる切り替え、現実と夢の中を行き来するような浮遊感、独特ではまってしまう。1番好きな作家は?って今聞かれたら、山下澄人って答えそう。2019/03/07

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