出版社内容情報
旗本の光一郎は、友が盛岡・弘前両藩の確執に絡み、不穏な計画を立てていることを知る。主への忠義と己の信義を貫く武士の姿を描く。いま大注目の作家の力作長編!
旗本の光一郎は、友が盛岡・弘前両藩の確執に絡み、不穏な計画を立てていることを知る。主への忠義と己の信義を貫く武士の姿を描く。梶 よう子[カジ ヨウコ]
内容説明
日本橋の高札場で盛岡藩士が切腹した。背景には弘前藩との長年にわたる確執があるらしい。旗本嫡男の神木光一郎は、元鳥取藩主・松平冠山や盛岡出身の剣豪・相馬大作と親交を深めるうち大藩の存亡に係わる真実を知ることになるが―。“陸奥の忠臣蔵”といわれた事件を背景に、武士の“義”を切実に描く傑作。
著者等紹介
梶よう子[カジヨウコ]
東京都生まれ。女子美術短大卒。フリーライターを経て2005年、「い草の花」で第12回九州さが大衆文学賞大賞受賞。08年『一朝の夢』で松本清張賞を受賞し、単行本デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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衛兵
20
忠臣蔵と言っても、赤穂浪士の話ではない。盛岡南部家臣、相馬大作こと下斗米秀之進が、弘前藩主津軽寧親を襲撃しようとした事件を、旗本、神木光一郎目線で描く。大作の忠義も、敵方の笠原の忠義も、実は同じであることが悲しい。2018/12/19
金吾
11
相馬大作を登場させていますが、主人公は別の人間です。家に対する忠義と主君に対する忠義について考えることができました。2020/05/12
タツ フカガワ
11
旗本の嫡男神木光一郎と御家人の嫡男村越重吾は、心中しようとした若い男女を助ける相馬大作を手助けしたことから親交を深める。やがて光一郎は、後にみちのく忠臣蔵といわれる恩讐劇に関わっていくことに。一種ミステリー仕立てのように進む展開が面白い。そこに光一郎と関わる人たちの人情劇が物語を膨らませて、最後は何度うるうるしたことか。ちなみに2か月前に読んだ宇江佐真理さんの『三日月が円くなるまで』と同じ題材でしたが、作家の個性が表れるようで、それも含めて興味深く読み終えました。2018/03/26
トラジ
8
良い話なんだけど御家騒動の当事者ではない神木光一郎の視点で物語が語られているため、なんだかボケた感じ。文体が読みやすく心の機微が伝わる表現が自然体で好印象。2016/05/24
kazukitti
4
これのちょっと前に、宇江佐さんの同じくみちのく忠臣蔵の相馬大作事件の読んだけど、読後感はこっちのがよかったよね。ドラマとしてキャラが出来すぎってのはあったんだけど、武士というのは男とはってのをちょっと突き放した感じの視線よりも、それでも~だからこそ~ってあたりの描写があるのが熱い感じしたね。個人的には、宇江佐さんの方が実像に近いんじゃないかなぁとは思うけど、キャラとして見るとコッチの方が好漢なんよなw2022/08/04