出版社内容情報
菓子職人の兄と商才に長けた弟が、知恵と工夫で和菓子屋を切り盛りする繁盛記。色鮮やかな和菓子を通じて、江戸の四季と人情を描く。菓子職人の兄と番頭の弟。上菓子屋兄弟の繁盛記
菓子職人の兄と商才に長けた弟が、知恵と工夫で和菓子屋を切り盛りする繁盛記。色鮮やかな和菓子を通じて、江戸の四季と人情を描く。田牧 大和[タマキ ヤマト]
内容説明
両親亡き後、叔父に実家を追われた晴太郎と幸次郎。兄弟は、かつて父の許で修業していた職人の茂市と一緒に、菓子司「藍千堂」を開く。優しい職人肌の晴太郎と、しっかり者で商才に長けた幸次郎は、亡き父の教えを守りながら、叔父の嫌がらせにも負けず、知恵と工夫を凝らした季節の菓子で店を切り盛りする。
著者等紹介
田牧大和[タマキヤマト]
1966年、東京都生まれ。明星大学人文学部英語英文学科卒業。市場調査会社に勤務しながら、ウェブ上で時代小説を発表。2007年『色には出でじ風に牽牛(あさがお)』(『花合せ―濱次お役者双六』に改題)で第2回小説現代長編新人賞を受賞し、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はにこ
61
菓子屋を営む兄弟、晴太郎と幸次郎。その商いを邪魔する叔父、百瀬屋。度重なる妨害を乗り越えていく兄弟とそれを支える茂市や伊勢屋。兄弟を応援すると共に、百瀬屋を憎く思い読み進めたが、それには隠された理由があって。と読みごたえたっぷりだった。出てくるお菓子も美味しそう。和菓子が食べたくなった。2020/11/23
もんらっしぇ
60
江戸時代。電話もSNSもない世の中で人と人とを結ぶ手段といえば文(ふみ)とそう会話ですよね。直接言葉を交わすことで相手を推し量る。言葉の抑揚、表情顔色等々いかに重要だったか。田牧さん、その辺りの心象表現が他の作家さんより優れてるかなと。本作では特に兄晴太郎と総左衛門との遣取。苦笑させられますねw また当事者が一人称で心情を吐露する形式も斬新。物語の展開が新鮮に感じられます。肝心の菓子は素材制作過程、色形香り味わいなど説明が丁寧。また各章の最初の頁にお菓子の画あり。二色刷とはいえ十分美味しさを想像出来ますw2019/11/15
のぶ
52
自分は2作目の「晴れの日には」を先に読んだが、こちらも和菓子の魅力と四季の情感にあふれた作品だった。「晴れの日には」に続けてこちらを読んだのも、それが大きな要因だった。ただ、2作を読んでみてちょっとした不満を述べれば、和菓子描写の素晴らしさに比して、各章に出てくる藍千堂の騒動とか、人情話にもう少し刺激が欲しかったと感じた。読む順が逆だとしても同じことを思っただろう。この先シリーズが続くとすれば、そのあたりがないと飽きてきてしまうのではと自分には感じた。2016/10/03
コジ
45
★★★★☆ 父の残した味を頑なに守る菓子職人の兄と、商才に長けた弟。兄弟が営む小さな和菓子店「藍千堂」を舞台にした時代物。弟・孝次郎と従妹のお糸の淡い恋と二人を見守る兄・晴太郎。お糸の父親で兄弟の叔父は兄弟の父親が成功させた百瀬屋を追い出した張本人。叔父の妨害を晴太郎が作る上品で美しい菓子と孝次郎の機転で跳ね除ける。コレと言った派手さは無いが、ほんのりと漂う艶っぽさと江戸の四季の移ろいと季節に合わせた美しい和菓子を想像しながら読む。和菓子には他の菓子には無い艶やかさがあることを気づかせてくれた。2016/08/05
min2
36
和菓子はあまり得意ではないのですが、思わず覗いてみたくなるお店でした。叔父さんとの確執もとりあえずは一段落?続きはどんなお話しが(お菓子が!)待っているのでしょうか?2016/06/29