出版社内容情報
黄金丸の船頭として海を駆ける笛太郎。シャムでの実の父親との邂逅は、宿命の対決の始まりだった――。傑作海洋冒険小説の新展開。
海と船へのあこがれを抱いて対馬で育った笛太郎は、海賊船黄金丸の船大将となってシャムを舞台に活躍するように。シャムのバンコクは明国の海賊マゴーチの本拠地。マゴーチは笛太郎の実父だが、笛太郎が異母弟を殺したことから親子の宿命的な対決が始まった――。戦いの果てに、笛太郎は「狼」から「王」へ変わることができるのか? 海に生きる男たちの夢とロマンを描いた直木賞受賞作「海狼伝」の続編。
内容説明
海賊船「黄金丸」の船頭・笛太郎は明国の海賊・マゴーチの本拠地であるシャムのバンコクに赴く。そこで笛太郎はマゴーチが実父であることを知るが、異母弟を殺してしまったことから、親子の宿命的な対決が始まる―。笛太郎は海の「狼」から「王」へ変わることができるのか?直木賞受賞作「海狼伝」衝撃の続編。
著者等紹介
白石一郎[シライシイチロウ]
昭和6(1931)年、釜山に生れる。早稲田大学卒業。62年、「海狼伝」で第97回直木賞を受賞。平成4年、「戦鬼たちの海」で第5回柴田錬三郎賞を受賞。11年、「怒涛のごとく」で第33回吉川英治文学賞を受賞。16年9月20日、逝去(享年72)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キジネコ
38
海狼が王になる続編。瀬戸内から外海に向けて船出した黄金丸の舳先を襲う数々の試練。『臨済録』に云う「逢佛殺佛、逢祖殺祖、逢羅漢殺羅漢、逢父母殺父母、逢親眷殺親眷、始得解脱、不與物拘、透脱自在」乗り越えてこその試練は新世界観への関門、と語られていきます。創意と工夫を凝らした船が傷つきながらも敵対する海賊を蹴散らす様子は、痛快なのですが敵者が縁者であるという因縁が複雑な深みと葛藤を添えています。肉親への情愛か、運命をともにする仲間との信頼か、潮焼けした鬢が風に揺らぐ。波頭を見つめる船大将の懊悩が見える様です。2024/07/02
ASnowyHeron
18
当時から遠く南洋の国まで行き、根を下ろした日本人の逞しさなど、『海狼伝』から続き、相変わらず力強い作品だった。この作品で終わってしまっているのが、残念だ。2016/03/23
kanki
13
続編。新たに牛之助を加え、明を目指す。戦いが始まる。笛太郎は成長していく。そして、こういう結末とは予想していなかった。笛太郎の海の冒険、面白かった2024/09/28
てぃと
8
直木賞受賞作品「海狼伝」の続編。前作もグイグイ引き込まれましたが、今回もストーリーに一気にのめり込みました。舞台は対馬・瀬戸内から東シナ海・シャムなどの海外へ移ってスケールアップ!明国の海賊を相手にする船頭となった笛太郎の成長ぶりに目を見張ります。続編に続きそうなエンディング...皆さんのレビューのとおり望みべくもないのが本当に残念ですね。2016/10/02
慧の本箱
6
面白く手にした『海狼伝』の続編。笛太郎も骨太になり親方業も板につきスケールも大きくなって、いよいよ母が待ちに待ってる父親と思われるマゴーチとの出会いが・・・本書の続編を胸に抱えたまま鬼籍に入られた白石氏に合掌しつつもどっかに原稿ありませんでしょうか?と・・伺いたい気分になります。返す返すも残念。2016/05/18
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