出版社内容情報
とある地方都市。軽自動車を手に入れた予備校生の、変わりゆく日常、そして恋。疾走する青春小説。第142回芥川賞候補作。
新芥川賞作家、幻の名作を緊急刊行!
とある地方都市。軽自動車を手に入れた予備校生の、変わりゆく日常、そして恋。疾走する青春小説。第142回芥川賞候補作。
内容説明
東京から電車で約1時間の地方都市。勉強とバイトに明け暮れる予備校生「彼」の日常は、中古車ホンダ「ビート」を手に入れてから変わってゆく。デリヘル嬢との微妙な関係、地方都市の閉塞感と青春群像、マシンを操る身体感覚、作家の資質を鮮やかに示し、第142回芥川賞候補になった表題作。短篇「一丁目一番地」を併録。
著者等紹介
羽田圭介[ハダケイスケ]
1985年東京都生まれ。明治大学卒業。2003年「黒冷水」で第40回文藝賞受賞。08年「走ル」が第139回芥川賞候補、09年「ミート・ザ・ビート」が第142回芥川賞候補、14年「メタモルフォシス」が第151回芥川賞候補、15年「スクラップ・アンド・ビルド」で第153回芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
95
とある日常の数ページを切り取ったような作品。本当にただそれだけです。中古車「ビート」を手に入れてからの予備校生の変わりゆく日常。デリヘル嬢と微妙な関係を持ったりと目先のことに夢中になるのはごく当たり前のことだと思います。その平凡さ故に、あらゆることがリアルに感じられました。物語のない物語だけれど体に感覚的に沁み込むような文章が羽田さんの持ち味なのでしょうね。2015/10/31
佐島楓
62
二編の中編を収録。両方に共通するのは「走る」こと。走ればどこかにたどりつけるのか。うっすらとした希望と絶望。文体ははっきりとしていて、空気感は生ぬるい。初めて作品を読ませていただいたが、王道の純文学という感じを受けた。2015/11/05
ゆにこ
59
羽田さん4作目。特に事件の起こらない若者の日常。下ネタがキツくないので、今まで読んだ物よりも読みやすかった。2016/03/24
巨峰
58
風俗嬢を彼女にもつランエボ乗りのホストの友人から、「あいつ」を譲り受けた予備校生は、なにかと金のかかる「あいつ」を乗りこなそうとするのだけれど〜。そりゃ予備校生の分際でそんなこと覚えたら勉強もできんようになるわなー(関係ないけど、分際って言葉結構好きかもw)。あたしも「あいつ」をはじめて操縦したときは、びびったけど大人になった気がしたものです。タイトルは秀逸。ああそういうことなのか!と心が弾んだ。2015/09/09
shiozy
39
芥川賞受賞5年前の候補作である。だがしかし、見事落選した短編である。支持と不支持が交錯したらしいが、ある意味、芥川賞らしい作風である。交通整理員のバイトをしながら予備校に通う「彼」のゆるい生活を描くのだが、そこには大きな「事件」が起こるわけでもなく、淡々と語られていく。中古車「ビート」を手に入れて、新たな自分を見つけるが、それが何であるかの答えは提示されない。見事なまでに、芥川賞を意識した作品といえようか。2016/01/27