出版社内容情報
維新ドラマの裏に隠れた志士の激烈な生涯
松陰のもとで学び、維新志士として、信念を貫く明治の政治家として「暴発」しつつ活躍した品川弥二郎の生涯に光を当てる歴史長篇。
内容説明
吉田松陰に「弥二は人物を以て勝る」と弟子の中でも特に愛された品川弥二郎は、維新の中枢で活躍し明治まで生き抜く。師が夢見た海外への留学で得た協同組合の理念を日本に持ち込むことを決意した彼は、奔走の末ついに選挙干渉という暴挙に出る―。松陰ゆずりの「やむにやまれぬ」狂気と志士の魂を持ち続けた生涯を描く長篇。
著者等紹介
古川薫[フルカワカオル]
大正14(1925)年、下関に生れる。山口大学卒。山口新聞編集局長を経て、文筆生活に入る。平成3年藤原義江を描いた『漂泊者のアリア』で第104回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
89
幕末志士の物語は数ありますが、品川弥二郎の物語というのは滅多にないのではないかと思われます。松下村塾の門下生の中でも松蔭に特に愛されていたようですが、どうも印象が薄い人物という印象しかないですし。なので、改めて弥二郎の物語を読んでみると、松蔭と重なる精神があり、とても興味深いなと。幕末維新から明治時代にかけて奔走した末、選挙干渉という汚名を抱く晩年までの生き様は殆どが知らないことばかり。今では当たり前の協同組合も弥二郎が生み出したとか。2017/03/29
やつぽん
1
幕末の小説はよく読むけれど、品川弥二郎にスポットが当たっているものは初めてだった。吉田松陰を師として仰ぐ弥二郎はまっすぐで潔癖で「やむにやまれぬ」狂気の持ち主。吉田松陰が処刑され、禁門の変で同志の久坂玄端を亡くしたことを経てますます、残されたものとして成し遂げたい志を強めていく。「空前絶後の選挙干渉」の汚名ばかりが目立つ弥二郎が、国民の生活基盤となる協同組合を実現させるために奔走し命をかけた男だったと知らなかった。2015/10/15
かえちゃんマン
1
品川弥二郎、名前は以前から知っていましたが、幕末明治期にやり遂げだ偉業に関してはあまり知りませんでした。駆け足で彼の人生を描いた本ですが、彼を知る最初の一歩としては充分だと思います。2015/09/08
左丘明
0
小説というよりも評伝に近い作品。主人公は品川弥二郎。松下村塾で吉田松陰の薫陶を受けた幕末の志士の一人だがどうにも印象が薄く、数多ある明治維新ものでもほとんどが脇役。「トンヤレ節」の作者として著名な程度。しかし、禁門の変をはじめ幕末の風雲を走り抜け、明治に子爵にまでなったのだから立志伝中の人物ではある。その品川に焦点をあて、幕末のみならず、明治期の役人としての活躍、内務大臣として大規模な選挙干渉を行い汚名を負う晩年までを丁寧に描く。初めて知る話も多く、品川が清廉な人柄であり、協同組合の生みの親とは驚いた。2015/12/02
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