出版社内容情報
戦時下の上海で謀略に巻き込まれた、財閥令嬢にして人気画家の多江子の運命は。??食堂のおばちゃん?≠ナ話題沸騰の松本清張賞受賞作。
あの話題の清張賞受賞作、早くも文庫化!
戦時下の上海で謀略に巻き込まれた、財閥令嬢にして人気画家の多江子の運命は。??食堂のおばちゃん?≠ナ話題沸騰の松本清張賞受賞作。
内容説明
昭和17年、財閥令嬢にして人気画家の多江子は、中日文化協会から上海に招かれた。ところが協会に潜入中だった憲兵の槇に、政府転覆を企んでいる中国人実業家・夏に接近するよう強要される。断れば、多江子が絡んだスキャンダルの真相を公表するという。謀略に巻き込まれた多江子の運命は…。松本清張賞受賞。
著者等紹介
山口恵以子[ヤマグチエイコ]
1958(昭和33)年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒業。新鷹会会員。2007年に『邪剣始末』で作家デビューを果たす。13年、『月下上海』で松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
80
戦前、戦中、戦後が臨場感漂うように描かれていると思いました。上海に招かれたと思えば、中国人実業家・夏との接触を命じられます。かつてのスキャンダルを広めるという脅迫があり、謀略に巻き込まれていくのが印象的でした。多恵子タイプの強い女性は理想です。2019/05/17
坂城 弥生
55
多江子は強くて愛情深い女性だった。太平洋戦争中そして戦後、上海でたくましく生きていた。周りの人と同じようにどうにもならない運命の荒波に翻弄されながら。2021/04/23
楽駿
31
川崎図書館本。「食堂のおばちゃん」の作者だったので、手に取ったが、全く違うタイプのお話。ほっこり感はあまりせず、時代と、恋愛に翻弄された令嬢のお話。とても強い女性ではあるが、あまり好みに合わなかった。2021/10/18
百太
28
食堂のおばちゃんシリーズを読んでいて気になった作家さんです。 予想以上に面白かった。気の強い女性の話は好きです。 2021/09/21
エドワード
27
第二次世界大戦中の上海。一人の女流画家が、醜聞のほとぼりを覚ますために東京からやってくる。颯爽とした美女、八島多江子。悪役の憲兵、槙庸平。謎の中国人、夏方震。華やかな夜会のすぐ外側に闇が迫る魔都。クセのある連中の騙し合い合戦。十年以上前、外灘の和平飯店に宿泊したことがある。西洋建築群が忽然と出現する不思議な空間はまさに上海にしか存在しない。これぞ世界遺産だなと思った。菊池寛と文藝春秋が東京編に姿を見せるのがご愛嬌。終戦を迎え、男は死に、女は生き残る。生命力に満ちた多江子の次のドラマが期待できる。2015/06/25