出版社内容情報
夫の死後、悲しみに暮れるリーシー。夫の過去に秘められたあまりに痛ましい出来事とは? 永遠の愛と悲しみからの再生を描く傑作。
内容説明
花が咲き乱れる森“ブーヤ・ムーン”。その空に月がかかる時、世界は恐るべきものに一変する。まだら模様のものが這い回り、死者が佇む暗い森。そこへ赴こうとリーシーは決断する。夫が心に秘めてきた忌まわしい過去と直面し、彼を救うために。痛ましい宿命と、それに打ち克つ愛を描き、巨匠が自作のベストと断言する感動大作。
著者等紹介
キング,スティーヴン[キング,スティーヴン] [King,Stephen]
1947年、アメリカ、メイン州生まれ。高校教師を経て、1974年『キャリー』で作家デビュー
白石朗[シライシロウ]
1959(昭和34)年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
ミスランディア本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
103
本書は作家という職業の業を深く描いた作品のように私は読めた。国民的ベストセラー作家であるスコット・ランドンは妻のリーシーに自分は狂っており、妄想と幻覚を紙に書き留めているだけでそれを読者が金を払って読んでくれるんだと述べる。私はここにキング自身の姿を重ねた。膨大な物語を紡ぐ彼の創作の秘密は彼自身の狂気ゆえだと告白しているように思えたのだ。作家とはある意味常に狂気と隣り合わせ。様々な物語をまるで見てきたかのように語り、そして様々な登場人物をまるで実在するかのように描くには想像だけでは補えないのかもしれない。2024/04/27
志田健治
25
傑作!紆余曲折を経ての傑作でございました。評価は分かれるのだと思います。この作品からキングさんに親しんだ読者の方は特にそうだと思います。これは読み手の努力を要する本です。そして名作とはそういう本を指すのだと理解しております。個人的にはかなりのヒット。キングさんを、こう肌が触れそうなほど身近に感じました。よくぞここまで吐露してくれました。と同時に作家として、より手の届かない存在になってしまったような、なんだか妙に寂しくもあります。池。池の描写の美しいこと。誰の心の中にも存在する池。私の中にも存在してました。2018/03/02
siva
25
”キング離れ”していた頃に発売された小説、今頃の読了。上巻がとにかく読みにくく、慣れたキングの文体でもなく妙に時間がかかったけれど、下巻に入ってようやくらしさが戻って来た。ダークタワーとのリンクが強い。彼の作品で女性が主人公のものはどうも苦手。奥さんを念頭に書いたんだろうとは思うけれど、キングは女性を本質的なところでは嫌っている、恐れているんじゃないかと思うのよ。2015/07/19
眠る山猫屋
24
後書きにあるように、これは“結婚”と夫婦の物語。変質的なストーカーや異世界の魔物が登場するが、物語を動かすのは異界を往き来する現在の妻と失われた過去の夫。途中活躍するアマンダ姉さんすら、路上のオブジェにすぎない。ひたすら喪われた夫と繋がる妻の物語、最後に読み上げられるリーシーへの物語が全てを浚ってゆく。2015/10/08
RINKO
20
ようやく読み終えた!時間かかった…。色々と言い回しが特徴的で、あんまり真剣に読むとおかしくなりそうだったので、雰囲気重視で読んでました。下巻はさすがにハラハラすることも多く、面白かったです。…大変だったけど。2015/10/10