出版社内容情報
ロジックと数理に生きた「最初の哲学者」がたどりついた境地とは。ギリシアの神々と哲人たちに材を取る哲学的ショートストーリーズ。
神話と思索と謎解きが、人間の真理を描き出す
ロジックと数理に生きた「最初の哲学者」がたどりついた境地とは。ギリシアの神々と哲人たちに材を取る哲学的ショートストーリーズ。
内容説明
皆さんがおっしゃるほど、わたしはあの人にとって“悪い妻”だったのでしょうか?ソクラテスの死後、悪妻クサンティッペが亡夫の実像を語る表題作の他、オイディプス、ゼウス、ミノタウロス、イカロス、タレス…いつか耳にしたギリシアの神や人々が、生き生きとよみがえる。平明な文体に深遠な哲学が沁み込んだ掌編集。
著者等紹介
柳広司[ヤナギコウジ]
1967年生まれ。2001年『贋作「坊っちゃん」殺人事件』で朝日新人文学賞受賞。2009年『ジョーカー・ゲーム』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
92
表題作が特に印象に残りました。このように別の側面から物事を改めて見てみると、確かのそうかもしれないと思ったりもします。そういう意味では、他人の気持ちになって物事を考えるというトレーニングには最適だと、斜め上の感想を抱きました・・・。2020/02/02
katsubek
38
ギリシャ神話等をモチーフとした短篇集。読みやすいですね。通勤中に読むに適した分量。そんな中に中島敦へのオマージュが含まれていて、面白い。「山月記」や「李陵」の一節が不意にでてくる。「悟浄出世」らしき描写も。『虎と月』も読んでみよう。2015/02/14
RIN
35
『最初の哲学者』を改題して文庫化。古代ギリシャに材を取った掌編13編と聞けば、初期からのファンとしては『パルテノン』だの『シュンポシオン』だのが頭をよぎり、掌編と言えば『百万のマルコ』みたいな感じ?と否が応でも期待が高まる。が。ちょっと期待しすぎたみたい。日本語の美しさと文章の巧さは安定の柳さんなのだが、この方らしい、悲哀と諷刺を織り込んだひねり、が物足りない。オリンピック絡みの企画連載らしいので仕方ないかな。次に期待!2015/06/23
つねじろう
34
ギリシャ文明、ギリシャ文化、ギリシャ神話って文字だけ並べても何か特別感がある。その独特な生命の活力、自由奔放さ、荒唐無稽さ。人間よりも人間的欲望に素直な神々。美や知、技の誕生。そういうほとばしるエネルギーの時代を13の短編で描き出す。平易な文章で各々有名なエピソードの核心を独特のフォーカスで切り取り、活き活き展開させる所はさすが柳広司。己が欲望の表現が単純な男達。複雑怪奇な女性達。そこに悲喜劇が生まれ、愛憎劇が展開する。寓話的であり哲学的であり普遍的でもある。表題作が好き、太宰の駆け込み訴えを思い出した。2015/01/01
金吾
24
ギリシャ神話を著者風にアレンジした作品でしょうか?私はあまりギリシャ神話を知らないので記憶とほぼ同じような作品もあるように感じました。「ソクラテスの妻」は良かったです。2024/08/26
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