出版社内容情報
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内容説明
人は利で動く。義など方便に過ぎぬ―幸隆と昌幸はそう考える合理主義者だった。しかし上杉家での人質生活で直江兼続と出会った幸村は、彼を心の師と仰ぎ、自らの義を模索する。秀吉すでに亡く、家康により世は定まりつつある。戦国が終わりへ向かう中、強きものになびかず誇りを貫いたその輝きを描く完結篇。
著者等紹介
火坂雅志[ヒサカマサシ]
1956年、新潟県生まれ。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経て88年『花月秘拳行』で作家デビュー。上杉景勝の家臣、直江兼続の生涯を描いた『天地人』は2007年第13回中山義秀文学賞を受賞し、09年のNHK大河ドラマの原作となった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
356
三代に渡る物語を、上下巻で纏めるだけでも、かなりの駆け足になることは容易に想像がつくというのに、直江家贔屓が高じた初恋話や、幸村の兄信之まで網羅しようとするものだから、史実部分はいやに平坦な説明文だけで済まされてしまい、著者の他作品からそのまま転載したような説明も多い。幸村の生き様を"義"に絡めて片付けてしまっているのも、個人的には違和感が拭いされない。初音がちらっと名だけ登場するのはファンサービスなのかもしれないが、それであれば『天地人』にも兼続の妹きたを出して欲しかったと思うのは欲張りか。2020/05/15
yoshida
185
上田城築城から豊臣秀吉の天下統一、関ヶ原合戦、大坂冬の陣・夏の陣迄を真田昌幸、子息である信之・信繁を中心に描く。地方の一小大名の矜恃が描かれています。丁寧な作品ですが、関ヶ原や大坂の陣はもっと見せ場を作っても良かったのではと思ってしまいます。エンタメ度は司馬遼太郎氏の「城塞」や「軍師二人」が好みかな。大勢力に屈せずに自家の存続の為に、必死で知恵を働かせる真田一族。その姿は現代にも繋がるものがあると感じた。火坂雅志氏はそれを伝えたかった為に、合戦場面をを抑え目に描いたのかもしれないと感じた作品です。2016/02/01
ナイスネイチャ
172
面白かった。やはり昌幸が際立ってます。最後の大坂の陣も迫力満点でしたが、やはり昌幸の反骨精神、弱者の戦いは素晴らしいの一言。後、直江兼続もちょっと登場して創作とはいえ楽しめました。2015/10/12
koji
86
再読です。TV真田丸を見ていないし略筋を忘れていたので没頭して読み耽りました。下巻の主題は「義」。幸村(信繁)は上杉の人質となり、そこで直江兼続の清廉さに心を打たれ、自らの義を追い求めます。最後、大坂夏の陣で徳川と死闘を演じる中で「強い者に靡かず、おのが誇りを貫く生き方」こそ、目指す義と悟り、49歳で壮絶な最期を遂げます。本書で火坂さんは、異なる生き様を見せる真田三代の史実を丹念に追いながら、実は3代4人に共通する日本人の精神の源流の一つとして「小さき者の誇り」を示しました。火坂さんに黙祷して筆をおきます2017/02/17
優希
84
真田の理想主義と悩みが貫かれているのを見たような気がしました。昌幸の合理主義を見ている幸村は義を模索するようになりますし。秀吉が死し、家康へと時代が移り変わろうとする戦国の中で、強さよりも己を貫こうとした武士がいたことを心に留めたいと思います。2018/07/02
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