出版社内容情報
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内容説明
「なぜ、先生がこんな目にあわなくちゃならないの?」夫・佐久間象山の暗殺に打ちのめされる順。滅びゆく幕府の運命を一手に担う兄・勝海舟を助けながら、混乱の中いつしか順は謎の剣客・村上俊五郎と恋に落ちる。幕末の男たちの生身の姿、明治の世を凌ぐ女たちの逞しさが生き生きと描かれる傑作時代小説。
著者等紹介
諸田玲子[モロタレイコ]
静岡県生れ。上智大学文学部英文科卒業。外資系企業勤務を経て、翻訳、作家活動に入る。1996年『眩惑』でデビュー。2003年『其の一日』で第24回吉川英治文学新人賞を受賞。07年『奸婦にあらず』で第26回新田次郎文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鈴木拓
22
勝海舟の妹・お順の視点から描かれる幕末、そして明治という時代。一歩引いた眼で見る勝海舟の素晴らしさや、佐久間象山、吉田松陰、坂本龍馬、西郷隆盛などの人物描写も興味深い。一方、お順をはじめ女性たちの波乱万丈な人生も面白く、魅力的な登場人物が多かった。2019/08/29
aloha0307
16
お順の恋愛 は、本書の読みどころです。生きていくパワーに倣い、とても激しい。惹かれるのは、何ものも跳ね除け、毅然と我が道をゆく強い男だ。初恋の相手:剣士の島田虎之助への燃えあがる様な想いの披瀝にはドキドキしてしまった。恋愛を描かせたら、諸田さんの筆は冴えまくる。理屈を超えたこころの動きであり、男も女も大きく動かす。こころの根っこから発射する情念なのですね。2017/09/22
鈴木みかん
10
これは、時代劇版「女の一生」なのね。壮絶な時代を凛として生きた女性お順。自分の意志を持つ女性ってのは、生きにくいものなのよね~。とても共感してしまう。。。。でも、お順は幸せだったんだろうな。平凡な人生なんかより、よっぽど波乱万丈に充実した人生を楽しんだんじゃないだろうか。やっぱり女はこうでなくちゃね!2014/11/22
to boy
8
諸田さん初読みでしたがとても良かったです。勝海舟の妹を主人公にして幕末の様子が生き生きと描かれています。海舟ってこんなにエライんだなって再評価。男運の悪かったお順がかわいそうです。2014/09/24
みかりん
6
激動の時代を生き抜いた勝海舟の妹 順。この時代の女達のなんと健気なのか。家名を残すために 妾も当たり前。子供ができたら 自分の子供として育て上げる。そして家を守って旦那達を内助の功で盛り立てる。旦那がいつ死ぬかわからないのに、気丈に振る舞う姿。とってもすごい。今の時代では考えられないですね。2019/01/06