出版社内容情報
日中の国交が断絶していた時代、歴史に翻弄されながらもうひとつの「戦後」をたくましく生き抜いた残留孤児が記す、運命の物語。
1970年、日中の国交が断絶していた時代に、
自力で奇跡の帰国を果たした青年がいた――
4歳に満たぬうちに満州で両親と生き別れ、
貰われた先の中国人の養父母に、
貧困の中でも、愛情をもって育てられた孫玉福。
しかし大学受験を目前に、共産党に心のすべてを晒し出す「交心運動」が激化し、
級友に日本人であることを強くなじられる。
日本人としての苦悩は強まり、履歴書には日本民族と書き入れた玉福。
結果、大学は不合格。貧しい農村から必死の思いで高校に進み、
立身出世を夢見ていた青年の生活は激変する。
日本民族と選択した以上、本当の両親、そして日本という国に触れたい。
玉福は赤十字へ手紙を出し続ける。
文化大革命が起こり、日本人仲間は「政治学習」という名の下に刑務所に連行され、
職場では次々と吊るし上げが起こる。当局による玉福への監視、
そしてドラマチックな進展を見せる親探し……
歴史に翻弄されながらもうひとつの「戦後」をたくましく生き抜いたひとりの男が記す
凄絶な運命の物語。
手に汗握り、涙する、一気読み必至の一冊です。
解説は、『大地の子』や『遥かなる絆』などNHKの名ドラマを手掛けた岡崎栄さん。
内容説明
1970年、日中の国交が断絶していた時代に、自力で帰国する―4歳に満たぬうち満州で日本の両親と生き別れ、「孫玉福」として貧しくも養母に愛情をもって育てられた著者だったが、大学受験を前に生活は激変。歴史に翻弄されながらもうひとつの「戦後」をたくましく生き抜いたひとりの男が記す凄絶な運命の物語。
目次
第1章 悲運の中で
第2章 南屯と北站の思い出
第3章 海林中学の三年間
第4章 激動の高校時代
第5章 岐路からの再出発
第6章 彷徨える日々
第7章 自分の決めた道を行く
第8章 祖国日本を目指して
第9章 帰心矢の如し
第10章 第二の人生を生きる
著者等紹介
城戸幹[キドカン]
1941年、旧満州東北部の三江省富錦に生まれる。1945年8月、終戦の混乱により両親と生き別れ、牡丹江市の北に位置する頭道河子村で中国人夫婦の養子となる。以降、戦後混乱期の中国を「孫玉福(スンユイフー)」として生きる。1959年、日本の実の両親を探し始め、日本赤十字社等への手紙の投函を開始。1962年に公安局から戸籍の選択を迫られ、中国籍から日本籍に改める。文化大革命の中を日本人として生き抜き、ついに1970年に日本の両親と再会を果たした(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Ryo Sogawa