出版社内容情報
筑後柳川の立花宗茂は、秀吉の九州攻めで、勇名を馳せ、関が原で西軍に属して改易となり、のち旧領に戻れたただ一人の武将である。
その忠義、剛勇、鎮西一の武将なり!
筑後柳川の立花宗茂は、秀吉の九州攻めで、勇名を馳せ、関が原で西軍に属して改易となり、のち旧領に戻れたただ一人の武将である。
内容説明
島津勢の猛攻に耐え、駆けつけた秀吉に「その剛勇鎮西一」と誉め称えられた立花宗茂は、九州探題大友家の元家臣であったが、秀吉によって筑後柳川十三万石の大名に取り立てられた。関ケ原の戦いで西軍に加担した宗茂は浪人となったが、十数年後領地に戻れた唯一人の武将となった。その半生を描く話題作。
著者等紹介
葉室麟[ハムロリン]
1951年北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年『乾山晩愁』で第29回歴史文学賞を受賞し、作家デビュー。2007年『銀漢の賦』で、第14回松本清張賞を受賞。2009年『いのちなりけり』が第140回直木賞候補。同年、『秋月記』で第141回直木賞候補および第22回山本周五郎賞候補となる。2010年『花や散るらん』が第142回直木賞候補。2012年『蜩ノ記』で第146回直木賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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がらくたどん
78
三代家光のお伽衆時代の小説を読みつつ再読。「立花の義は裏切らぬこと」婿入り先の気丈な嫁御と交わした誓いを愚直に貫き、今日の味方は明日の敵・油断ならない権謀術数の戦国の世でその勇猛・戦術以上に「あいつなら信用できる」と敵味方双方から思われ、どれだけ窮乏しても陰りのない稀有の「凡庸」を体現した立花宗茂の半生記。「世は務めることを止めぬ凡庸なる力によって成り立っておるかと存じまする」家康から託された「泰平の世の画竜点睛」として二代秀忠の傍らに立つ姿は心に響く。「華」の幸村・独眼竜と対峙する「地味」の強さは格別♪2023/09/03
Die-Go
73
図書館本。戦国末期において、秀吉から「無双のもの」と評された、立花宗茂の義に重きをおいた生涯を追う。集中して読めなかった個人的理由もあり、あまり楽しめなかった。★★☆☆☆2016/01/21
つーこ
70
またやってしまった・・。ハードカバーと文庫のデザイン違いトラップにまた引っかかってしまい、既読本を買ってしまった。読書メーターも別の本扱いだしねー。それにしても、やっぱり好きだ。この本。歴史小説にありがちな生い立ちや少年時代もすごかった的なエピソードをくどくど語ることもなく、必要以上に活躍シーンを盛り上げることもなく、真摯に人物に向き合っている。島津との関ヶ原撤退路や幸村との交流もとても好ましく、立花宗茂という人物をもっともっと知りたくなる。同じ本を読んでる場合じゃない。2020/11/08
ケイト
60
関ヶ原の戦で敗れた《西国無双》と呼ばれた立花宗茂。何年も浪人をしながら立花家の再興を願う。妻闇千代との約束“立花の義”(人を裏切らない)を守ろうとする。浪人時代も家来が20人もいたなんて、人望があったのかなぁー幸村信繁(幸村)との交流も良かった。闇千代は猛々しいだけの女武者かと思ったけど、情が深くて気遣いのできる人だった。正室も側室も亡くなり、十数年後に九州に戻た宗茂。晩年は若い妻を娶ったようだが(闇千代の願いだとしても)あ〜と少しガッカリした。2023/01/23
yutaro13
56
先に読んだ滝口康彦『立花宗茂と立花道雪』では宗茂が柳川を領するまでの前半生を描くが、本書で描かれるのは主に後半生。柳川十三万石の大名だった宗茂は関ヶ原で西軍に加担したため改易されるが、浪人時代、陸奥棚倉時代を経て、20年近く経たのち旧領・柳川に復帰する。同じく関ヶ原で西軍に属した真田信繁、長宗我部盛親、島津義弘との絡みも読みどころ。裏切らぬという「立花の義」を体現した生き方は高橋紹運、立花道雪から受け継いだものだろうか。以前柳川に行った際はあまり時間が取れなかったので、次回は立花史跡をじっくり巡りたい。2019/09/23