文春文庫
捕食者なき世界

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  • サイズ 文庫判/ページ数 443p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167901127
  • NDC分類 481.78
  • Cコード C0198

出版社内容情報

生態系の頂点である肉食獣を人類が駆除した結果、生物多様性は減少した。その実例と共に奇想天外な再野生化計画も示す、警告の書。

生物多様性、崩壊の真相に迫る!

生態系の頂点である肉食獣を人類が駆除した結果、生物多様性は減少した。その実例と共に奇想天外な再野生化計画も示す、警告の書。

内容説明

2005年、科学誌『サイエンス』に掲載された論文は、世界を驚愕させた。地球規模で起っている生物多様性の減少は、実は一万五千年前から起っている。即ち人類が大型捕食動物を次々と絶滅に追い込んでいったがゆえに起っている。その解決策は、滅んでいったライオンを、あるいはオオカミを再び、例えばアメリカに放つことである。

目次

ハイイログマとの邂逅
ヒトデの腕
捕食と進化
ラッコが守る森
恐るべきハンター
生態系のメルトダウン
バンビの復讐
小さなモンスターたち
恐怖によるコントロール
ピューマが守る谷
アメリカ再野生化プロジェクト
孤独な捕食者
人は再び自然を愛せるか

著者等紹介

ソウルゼンバーグ,ウィリアム[ソウルゼンバーグ,ウィリアム] [Stolzenburg,William]
『ネイチャー・コンサーバンシー』誌で編集者を15年間務めた後に独立。保全生物学について20年以上にわたり取材を続け、同誌のほか『サイエンス・ニュース』誌、ワシントン・ポスト紙などに記事を書いてきた。『捕食者なき世界』が初めての著書である。野生生物の研究によりニューメキシコ州立大学で修士号を取得。現在、ウェストバージニア州シェパーズタウン在住

野中香方子[ノナカキョウコ]
翻訳家。お茶の水女子大学文教育学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

zirou1984

45
驚きと知的興奮と、そして種/主としての人類について考えずにはいられない、とても刺激的な科学読み物であった。食物連鎖の頂点に立つ上位捕食者、狐や狼、時にヒトデの様なキーストーンとなる種いかにが生態系の多様性を保証し、彼らの不在によって中間捕食者が急速に自然を荒廃させていくかを様々な事例から導いてく。理屈の上では理解していたつもりでも、こうやって具体的に示されると改めて自然の生態系が持つ複雑さに驚かさせられる。そして、人類という生態系の頂点に立つ生物が何をしてきたか、どうすべきなのかを問いかける。2014/10/22

ロア

39
第2章を読むのはとてもつらかった。利己的で残虐な人間の本性は今も変わらない。悔しさで胸が詰まる。2015/06/05

姉勤

33
ある地域(草原、森林、海洋、島など)の、食物連鎖の最終的摂食者、トッププレデター(最上捕食者)を失う事で、生態系のバランスが崩れ、環境が荒廃してしまう実例を、数章にわけて考察する。上位の捕食動物が居た方が、被食動物の弱者が淘汰され、しかもその地域の種の豊かさや、土地も肥沃になり、逆に居なければ中間捕食動物が増殖し、土地を食い荒らしてしまう。その原因のほとんどが、人類が仕出かした必要以上の狩猟(娯楽やスポーツとしての猟りや、利害や観念による殺戮)、開発、環境汚染によるもので、エゴに基づくゆえ、度し難い。2014/12/15

27
生態系のバランスが世界全体で崩れており、その要因として、被捕食者の保護と称して頂点捕食者を大量に虐殺したことが例に挙げられる。これにより被捕食者が異常に増加し、その地域の緑を食べつくしてしまう、もしくはその下の被捕食者を排除する。本書でも挙げられていたシカの例は日本でも当てはまる話であり、シカの大量繁殖により農作物が食べられ、「動物愛護」が邪魔をして黙ってみているしかない。このバランスを元に戻す方法として「頂点捕食者」を再びもといた場所へ戻すことだが、現代の人間との共存は並大抵の努力では実現できない。2015/07/06

まさ

25
再読。食物連鎖の上位の捕食者が生態系の維持に大きな役割を持っている。とても興味深い1冊です。最大の捕食者=頂点にいると思い込んでいるヒトはどうか。本当に頂点なのか。脅かす存在を消していくことで上位になろうとしているだけで、本来の上位を崩すことにより生態系を乱しているにすぎないのでは。2019/11/01

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