出版社内容情報
黒船が来航し時代が変わろうとしている折、喜平次はある目的のために身分を隠し船渡しとなっていた。己の為すべきことはこれなのか?
宿命を背負わされた武士の進むべき道とは?
黒船が来航し時代が変わろうとしている折、喜平次はある目的のために身分を隠し船渡しとなっていた。己の為すべきことはこれなのか?
内容説明
黒船が来航したその年。喜平次はわけあって素性を隠し、渡良瀬川のほとりで渡し船の船頭となっていた。村人たちに頼られる存在となりつつあった喜平次だが、一体彼の目的―背負わされた宿命とは何なのか。時代の転換期、武士としての誇りを失いかけた男が、己の進むべき道を見極める姿を描く、傑作時代長篇。
著者等紹介
志水辰夫[シミズタツオ]
1936年、高知県生まれ。雑誌のライターなどを経て、81年『飢えて狼』で小説家デビュー。86年『背いて故郷』で日本推理作家協会賞、91年『行きずりの街』で日本冒険小説協会大賞、2001年『きのうの空』で柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NICK6
8
ある目的でその土地に目立たず静かに暮らす男。ただ、男の能力と技量はいろんな方面で、高いレベルで身についているから、土地にやっかいな事件事故が起きれば、ご本人が出しゃばらずとも、マッテマシタ!の、出番となる。早くその場面が到来しないかなぁって、やきもきしていた読者である私は立ち所に現場評価が急上昇してくれて、心地よい陶酔に浸る。数人としか交流なく静かに暮らす日々が一転、その技能に見合う立ち位置へ変わり、渋いロマンスの交感まで、物語の最高を味わう。訪れる男の真の目的、そして恋の選択。沁みるシミタツ節の快感 2024/12/14
Totchang
6
渡し船の雇われ船頭を務めることになった主人公の本性は何か。幕末の動乱を遠くで感じながら、農業から絹布の生産に転換していく田舎の村で起こったこととは・・・。楽しく一気に読み終えました。2017/05/24
たーくん
6
黒船が来航したその年。喜平次はわけあって素性を隠し、渡良瀬川のほとりで渡し船の船頭となっていた。村人たちに頼られる存在となりつつあった喜平次だが、一体彼の目的―背負わされた宿命とは何なのか。時代の転換期、武士としての誇りを失いかけた男が、己の進むべき道を見極める姿を描く、傑作時代長篇。一気読み。シミタツ節全開。時代小説たけど、中身は冒険小説。主人公はいつものように、理屈っぽくて、女々しくて、繊細で、かつ大胆。だけど正義感は強い。いつも共感してしまうのは、自分と似ているからか…。2016/03/13
ラスカル
5
武士でありながら渡し守りとして働く男。謎が徐々に解き明かされていく。舞台設定が巧みだ。時代小説だけどハードボイルド小説を彷彿とさせエンターテイメントとして楽しめる。2014/02/22
トラジ
4
ハードボイルド時代小説。シミタツ節顕在!ストイックで控えめで漢らしい。そんな喜平次に惚れました。2015/07/27