出版社内容情報
舞台『リア王』の緻密な演技プラン。役を生きることで自分という始末に負えない化けものの正体を知る――。名優が残した迫真の記録。
万人を感嘆させるプロフェッショナル魂
舞台『リア王』の緻密な演技プラン。役を生きることで自分という始末に負えない化けものの正体を知る――。名優が残した迫真の記録。
内容説明
戯曲『リア王』を演ずるにあたり、山崎努が綴ったノートは八冊にも及ぶ。演技とは?死とは?血縁とは?身につけた技術に甘んじることなく、思索を深める日々。その果てに結実する、独創的な演劇論。いつしか我が身に流れ出す、リアの血潮―。凄烈なプロフェッショナル魂が万人の胸を打つ、日記文学の傑作。黒澤明、伊丹十三、岸田今日子ら、多彩な交遊とともに綴られる迫真の記録。
目次
日記(準備;稽古;公演)
著者等紹介
山崎努[ヤマザキツトム]
1936年、千葉県生まれ。都立上野高校卒業後、俳優座養成所を経て文学座に入団。60年、三島由紀夫の戯曲『熱帯樹』でデビュー。63年、映画『天国と地獄』(黒澤明監督)の誘拐犯役で注目を集め、以降、幅広いジャンルで活躍。出演作多数。受賞歴多数。2000年、紫綬褒章、2007年、旭日小綬章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
117
1998年の新国立での『リア王』を演じる前から、千穐楽までの日記。練習の間に伊丹十三氏、三船敏郎氏が亡くなる。舞台稽古が始まる前に次女が孫となる娘を出産する。彼と娘たちとの関係がとてもよく、しかし、だからこそ、 リア王を演じる彼の心の動きが気になる。舞台の初日、どの舞台の初日にも必ず来ていた伊丹十三の姿はない。毎日のように観る妻。満席の日、学校で貸切の日は、身内は観れない。なんと正直なこと。渡辺謙が娘と息子を連れて観に来た、と。既に俳優として活躍してる二人のことか。彼はその後、もう舞台に立っていない。2022/07/22
KAZOO
103
山崎努は昔から存在感のある俳優で大好きです。映画の「クライマーズ・ハイ」の一癖ある新聞社主や最近の「日本のいちばん長い日」の鈴木貫太郎総理の役、どれをとってもぴったりの配役でなり切っています。これはその劇のシェイクスピアの「リア王」を演じるについての書き綴ったノートをまとめたもので、本当に努力をしているというのがよくわかります。最近読んだ松岡和子さんの訳の「リア王」です。松岡さんの本を読んだ時にはこの「リア王」を見たいと思っていました。再演はないでしょうね。また香川照之の解説も素晴らしいものでした。2015/08/17
りえこ
25
素晴らしい本でした。共感したり気付いたり、こんな考え方をするんだと興味を持ったり。知っている方の名前がたくさん出てきて、仕事ぶりも描かれていて、とてもためになりました。又読みたいです。2015/10/31
みなみ
22
新国立劇場で「リア王」のリアを主演した際の準備期間から千秋楽までの日記。呼吸や台詞の解釈、演じるときの動作、一つ一つにこれだけ気を遣っているとは、恥ずかしながら知らなかった。今後舞台を見る際には、前もって予習してから見なければ役者に失礼かもしれないと感じてしまう。山崎さんの考えの中で、「演技をすること、芝居を作ることは、自分を知るための探検の旅をすることだ」という一文が印象に残った。自分の経験だけを踏まえるのではなく、新たな表現や発見を求めて努力し続ける姿勢について、分野は違っても見習いたい。2019/10/01
あい
13
リア王を知らなくて、山崎努さんについて詳しくないわたしが読んでも面白かったです。山崎さんは、ご自身が演じるリア王とはどんな人物なのかを徹底的に探し続ける一方で、周りの方々のこともよく観察されている。主観と客観の両方を行き来する達人だなぁと思いました。相手と自分の演技の息があった瞬間に生まれる喜び。台本に書かれていない部分の感情の飛躍。演出家と俳優の関係性。会社員のわたしが読んでも、自分の環境に置き換えて活かせそうな言葉とエピソードがたくさんありました。2022/07/13