出版社内容情報
盲目の少年を一流のピアニストに育て上げた恩師の、独特の教育法と2人の12年間の交流、国際コンクールの内幕を描く感動の物語。
内容説明
目の見えない子に、どうやってピアノを教えたらいいのか―6歳の辻井の才能に惚れ込んだ川上は、手探りで指導者の道を歩み始めた。膨大な譜読みテープの作成、常識を覆す「心が喜ぶ」レッスン。世界的コンクールで日本人初優勝を成し遂げたあの音色はこうして生まれた!師弟の12年間の軌跡と舞台の内幕に迫る感動の物語。
目次
1章 世界中の人に聴いてもらいたい
2章 「ブラボー!」が聞きたくて
3章 6歳と29歳、運命の出会い
4章 ピアニスト・川上昌裕が挑んだ道
5章 この子にあった指導法とは?
6章 「奇跡の音色」へ輝きだした才能
7章 2人の夢、ショパン・コンクールへ
8章 自立と別れの季節に
著者等紹介
神原一光[カンバライッコウ]
1980年東京生まれ。早稲田大学卒業後NHK入局。静岡局を経て、制作局第一制作センター青少年・教育番組部ディレクター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
metoo
69
初めての出会い。6歳でドビュッシーの二つのアラベスクを弾く辻井伸行、それを聴く東京音大演奏家コース主席卒業後ウィーン音楽大学院主席卒業した29歳ピアニスト川上昌裕。いくつも受けたコンテストで入賞できないで自分の才能、将来に不安を抱えたウィーンでの川上。天才的な才能を持つが盲目で更に上を目指すには強力な支えが必要な伸くん。運命の出会い。初めて聴く伸くんのピアノで川上の心は迷いなく伸くんを伸ばすことに全力を尽くす。伸くんを誰も羨んだり妬んだりできない。彼はピアノそのものだから。2015/07/28
Totchang
9
残念ながらNHK放映の「こころの遺伝子・・」「旋律よ殿堂に響け・・」を観ることはありませんでしたが、その内容に基づいた描き下ろしとのことで大変面白く読み終えました。辻井伸行氏がどうやって譜読みするのかなど謎に思っていましたが、川上昌裕氏というピアニストの支援があったのですね。夫人のゆかり氏も大変だったことと思われます。毎年たくさんの才能がデビューする中で、聴衆に喜んで迎えられ続けるのは大変なことだと思います。今後も一層の活躍を期待せずにはいられません。2019/08/19
Miko
5
盲目のピアノ大好きな男の子の才能に自分の出来る全てを投げ打って一緒に成長した川上昌裕先生は教育者として尊敬できる。辻井伸行さんの才能が開花されたのは川上先生との奇跡的な出会いがあったから。お母さんも素晴らしい人だとは思うけど最初に伸行さんの目が見えないことを嘆き一緒に死のうと思ったと書いてあったけど世の中目が見えなくても逞しく生きてる人のことを考えたらそんなことは言えないだろう。カーネギーホールのアンコール曲で弾いた『金髪のジェニー』は懐かしさを感じるいい曲だ。2022/02/16
qsan
5
この本を読んでから彼のCDを再度聞いてみると、心なしか一つ一つの音が非常に綺麗で澄んだ印象が残りました。彼は勿論特別な絶対音感を持つ天才だと思いますが、彼の素直な性格がこの音楽を作っているように思います。小さいときに母親に『なぜ、僕は目が見えないの?』と聞いて母親が返事に困った時に『でもピアノがあるからいいや。』と言ったそうです。彼が世界的なピアニストとして多くの人達を楽しませてくれるよう、期待しています。2013/04/27
あん
4
辻井さんと川上先生との二人三脚の練習。右手と左手それぞれの演奏テープによる楽譜読み、苦労が実って本当に良かった。今後の更なる活躍に期待したい。中山七里さんのショパンの本を読んで、この本を再読したが世の中には凄い人がいっぱいです。モチベーションが上がる一冊でした!2019/09/27