出版社内容情報
偉大な軍人だった父を越える名声を得たい。アレクサンドル・デュマはパリで劇作家の道を志し、ついに未曾有の成功を手にいれる。
内容説明
皇帝ナポレオンのもとで「黒い悪魔」との異名をとったデュマ将軍。褐色の肌を受け継いだその息子、アレクサンドル・デュマ2世は、父親譲りの集中力を武器に、劇作家としての道を歩み始める―。『三銃士』『モンテ・クリスト伯』で、フランス文学界の伝説になった天才作家の天真爛漫で自由闊達な生涯を描く。
著者等紹介
佐藤賢一[サトウケンイチ]
1968年山形県鶴岡市生まれ。山形大学教育学部卒業後、東北大学大学院文学研究科で西洋史学を専攻。93年『ジャガーになった男』で第6回小説すばる新人賞、99年『王妃の離婚』で第121回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夜間飛行
65
パリの劇場で肌の色を揶揄されたアレクサンドル・デュマは「父と同じ道を歩けて嬉しい」と言う。成功した彼は多くの愛人を作り巨額の金を浪費する一方、王の圧政に憤り、王党派の城に単身乗り込む。その姿からは父将軍やダルタニャンを思い出した。共に戦おうと盟友ユゴーを誘った時、相手の示す困惑ぶりが彼には判らない。小人国に迷い込んだ巨人のように孤独なデュマ。そんな中、シエークル紙は「三銃士」の連載により発行部数を三倍に伸ばし、今度はユゴーの嫉妬を買う。デュマは狭い文壇に収まりきれず、常に世の中全体を相手にした作家だった。2015/09/23
優希
53
面白かったです。アレクサンドル・デュマ2世が生き生きと描かれていました。天真爛漫で自由奔放な作家だったのですね。『三銃士』は読んでいないので、読みたいと思いました。2020/08/26
アイゼナハ@灯れ松明の火
33
かの大文豪アレクサンドル・デュマ・ペールをこんなにファザコンな人に描いちゃっていいのー!? 読み終えた結論から言えば「アリ」で良いんじゃないかしら(笑)無邪気で天真爛漫で根拠なく自信家で…無軌道なんだけど憎めない、そんなお人柄はまさに子供のまま人生を終えた人のよう。同じ時代を生きた、真面目なユゴー目線のパートも楽しかったです。それにしても何と波瀾万丈な人生だったことか。『父さんは幸せでしたか』そう言ってくれる息子が最期に傍らにいてくれたことが、幸せでなくて何だろう?2012/08/11
イトノコ
16
再読。「黒い悪魔」と呼ばれた父への憧れを胸に育ったデュマ。やがて「三銃士」「モンテクリスト伯」といった大作を生み出し文壇の頂点に君臨する。前作のデュマ将軍が黒人の血へのコンプレックスと戦い続けたのとは対照的、息子のデュマは天真爛漫。文壇での成功に加えてパリで美食三昧、愛人私生児を山ほどこさえ、郊外に豪邸を建設、地中海をヨットクルーズ!しかし「父のようになりたい」と革命に身を投じても、満たされることはなかった。「あなたは幸せでしたか」との問いに応えることなく逝った大デュマーー答えは「象牙色の賢者」に?
イトノコ
12
再読。「黒い悪魔」と呼ばれた父への憧れを胸に育ったデュマ。やがて「三銃士」「モンテクリスト伯」といった大作を生み出し文壇の頂点に君臨する。前作のデュマ将軍が黒人の血へのコンプレックスと戦い続けたのとは対照的、息子のデュマは天真爛漫。文壇での成功に加えてパリで美食三昧、愛人私生児を山ほどこさえ、郊外に豪邸を建設、地中海をヨットクルーズ!しかし「父のようになりたい」と革命に身を投じても、満たされることはなかった。「あなたは幸せでしたか」との問いに応えることなく逝った大デュマーー答えは「象牙色の賢者」に?2019/12/23
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