内容説明
ひとつぶでほっかほかになる梅干し番茶、滋味深さを生かしたごまごはん、季節はずれのトマトは焼いてスパゲッティに…愛しいひと皿と、そしてささやかだけれど気に入りの道具があるだけで、人は新しい元気が湧いたり、気が晴れたりもする。シンプルなレシピとともに綴られた、49の幸福なエッセイ集。
目次
1 忙しい日でも、おなかは空く(塩トマト―わずかな手間だけれど;冷やしなす―先手を打つ ほか)
2 今日はうちにいたい(氷―季節の音を聴く;ガラスのコップ―気軽なうつわとして ほか)
3 自分の味をつくる(鶏のから揚げ―調味料はひとつだけ;たくあん―切りかたを変える ほか)
4 なにかを変えたい(唐辛子シュガー―辛くて甘い衝撃の味;ちぎりかまぼこ―ちぎらずにはいられない! ほか)
著者等紹介
平松洋子[ヒラマツヨウコ]
東京女子大学卒業。フードジャーナリスト、エッセイスト。世界各地を取材し、食文化と暮らしをテーマに執筆活動を行う。『買えない味』で第16回Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
505
食エッセイが人気の平松洋子さん。外で食べ歩きばかりしていらっしゃるわけじゃない、おうちの中でも丁寧な暮らし。読者にも手軽に真似できる食材へのひと手間から、揃えておきたいキッチン小物まで。各編に必ずついてくる写真もうれしい。2022/11/16
いつでも母さん
127
読メで知った本。だから嬉しい。この1冊で満ち足りた時間をもらった。昔、OL(この言葉も死語でしょうか?)の頃、あるお通夜に友人とお弔いに行った帰り道、その友人二人がお腹がすいたねぇ。うん。等と会話をしたので「私が亡くなっても帰り道で何か食べていくのね?」と言うと、「当たり前でしょ。なに、ずーっと食べるなって?」と会話したことを思い出しました。そうなんですよね~何があってもお腹は空くのだ!2015/09/25
ミホ
73
本の交歓会Vol.2で頂いた本。表紙のささみの卵スープには寒い冬と食欲停滞気味の際に大変お世話になっていたり、他、何品か作ったことはあったりもあったのですが、通読してなかったので今更の登録に。ちょっとのひと手間が簡単に一品の変貌を遂げる訳で、本当に簡単。台所のグッズも写真付きで載っていたり、平松さんは楽しんで幸せを感じて料理をしているんだなと伝わってきます。以前料理部分を読んだときも思ったのを覚えているのですが、改めて蒸籠を買おうか考え始めている。2016/05/29
カナン
60
そうそう、どんなにくたびれていても、作るのが面倒でも、ひとはおなかが空く。自覚が無くても、食欲なんて無いわと思っていても、からだはきちんと求めている。時には凝り固まった肩をほぐすように全身の無駄な力を抜いて、時にはふぬけてだらけた心を満たすためにしゃんと背筋を正して、食べることや料理を作ることと向き合ったあたたかなエッセイ集。ただ生きるための餌ではなく、日々を美しく優しく、そして逞しく、何よりも丁寧に生きるためのごはんの本。食いしん坊さんや料理初心者さん、この頃味気ない食生活を送っている方におすすめ。2013/10/22
長野秀一郎
57
贅沢な食生活について書かれた随筆集である。ここで言う贅沢とは有名店一流店に毎日毎食通うといったことではない。そうではなくて、日々の家庭料理にほんのひと手間を加えることで自分や自分の大切な人に豊かな気持ちを与える工夫のことである。例示されているレシピに難しいもの・高価なものはない。ご飯を炊くときに梅干を入れる、何にでも胡麻をかけてみるといった手間いらずのものもある。忙しいときでも、いや忙しいときこそ僅かでも食に関心を持つことが人生では大切なのだなぁ、と気づかせてくれる名著。評価52017/08/07