内容説明
現代社会の危機に対する処方は要するに「常識ある大人」の頭数をもう少し上積みすること、それだけです―。『寝ながら学べる構造主義』『日本辺境論』『街場のメディア論』の著者が、若者たちに向けて語る、「自立」と「孤立」の違い、結婚、労働、共同体の作法とは。特別座談会「お見合いは地球を救う」を併録。
目次
1 非婚・少子化時代に
2 働くということ
3 メディアの語り口
4 グローバル化時代のひずみ
5 共同体の作法
6 死と愛をめぐる考察
著者等紹介
内田樹[ウチダタツル]
1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒。東京都立大学大学院博士課程中退。現在、神戸女学院大学大学院文学研究科教授。専門はフランス現代思想、映画記号論、武道論。2007年『私家版・ユダヤ文化論』で第6回小林秀雄賞を受賞。『日本辺境論』で新書大賞2010を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うりぼう
104
年頭からの読書に共通性があり、そのテーマは「贈与」のようだ。、お年玉を出す言い訳を探しているのかも。『私達の時代に「隣人愛」という言葉が死語になったのは、自分を愛することに夢中で、隣人を無視したのではなく、自分自身を愛するということが判らないので、隣人の愛し仕方も判らなくなった』この部分に目からウロコ。それは、「ほんとうの自分」があるという幻想に起因する。曖昧模糊とした自分を認め、その多様な自分と共生するように、隣人とも付き合う。こうした大人を増やすためには、鹿島氏の「贈与」と「名誉」のセットが有効かも。2011/01/12
パフちゃん@かのん変更
68
著者のブログから、二十代三十代の青年にとって身近で切実なトピック(結婚・家族・仕事)を選び出して編まれたもの。当時はやった「おひとりさまの老後」に対抗する面もあり。「私たちは自分が欲するものを他人にまず贈ることによってしか手に入れることが出来ない」という言葉は大切。2014/06/12
フユコ
63
政治やマスコミの意図、語彙力など、もっと色々目を向けていきたいです。2019/04/02
おさむ
41
8年も前のブログのコンピレーション本(の文庫化)ながら、数々の主張が古びていないのが内田センセイの凄いところ。「現代におけるメディアリテラシーとは、報道の真偽を吟味する能力ではなく、メディアが何を報道しないのかを推察する能力である」とか「強者は勝ち続けることができる者ではなく、何度でも負けることができる余力を備えたもの。弱者は一度も負けられないという追い詰められた状況にある人間」……。この8年間でIT技術はなるほどかなり進んだのかもしれないけれど、人間の本質なるものは案外変わらないから、なのかもしれない。2016/10/21
アナクマ
33
(p.215)たとえジャンクフードを食い、煙草を吸い、酒を飲んでも、「周囲からの支援と尊敬」のうちにいれば、人間はあまり病気にならない。2021/05/09