出版社内容情報
お家断絶で裏長屋暮らしの宍倉六佐衛門は、妻に先立たれて逼塞の日々。絶好の死に場所を得て槍を手に立ち上がった彼の運命は…。
内容説明
宍倉六左衛門は御家断絶で裏長屋の浪人暮し。労咳の妻も抱え人足仕事に精を出すも看病の甲斐なく妻は先立つ。かつては管槍の遣い手として島原の乱で活躍した六左衛門も既に還暦。天涯孤独となり、侍らしい最期を決意し、死に場所を求めて彷徨ううちに由比正雪の企てを知るが…。江戸勃興期の侍を描いた著者渾身のデビュー作。
著者等紹介
好村兼一[ヨシムラケンイチ]
昭和24(1949)年、東京生まれ。東京大学在学中に全日本剣道連盟派遣学生指導員としてフランスに渡り、以後、フランスで剣道指導に携わる。パリ在住。剣道八段。平成19年に『侍の翼』でデビューを果す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gachi_folk
3
「身分や見かけがどうなろうが、肝心なのは心ん中でござんしょう。」侍を捨て市井で生きる者の言葉は重い。侍として死に場所を探した六左衛門の翼に詰まった思い。これもまた重い。2013/02/25
ワッピー
3
どこでもそこそこのところまで行って、なぜか乗り切れず置いていかれる六左衛門。転落の末、連れ添った妻をなくし、死場を求めてさまよっていると、なぜかそれを覆すような事件が続けざまに起きる・・ラストを美しいというか、「えっ、そんな」と思うかわかれるところですね。この当時の時代背景は現在の閉塞感に通じるような気がします。2011/10/06
Mikey
1
最初から浪人となった侍の惨めさがふんだんに出ていて悲しくなったが徐々に話は死に場所を探す決意になり死のうとすると先延ばしする事が次々と起こり、やっと生きる決意をしたら死んでしまう。と言う何ともやり切れない結末にした作者を恨みながら、いつの間にか先を楽しみながら読み進めてしまった。なんか大事にしたい超長編作品。 2020/08/16
yossi
1
★★:和風騎士譚?オチに最初驚いた。2010/08/19