出版社内容情報
主君・上杉景勝をたてて、豊臣、徳川の世を凌ぎきった名宰相直江兼続の“義”を貫いた清々しく鮮烈なる生涯を活写する長篇歴史小説。
内容説明
戦国の世、越後上杉家中の樋口与六は、若くして長尾喜平次の小姓となった。五歳の歳の差を超え、二人は肝胆相照らす名コンビとなる。後の直江兼続と上杉景勝である。二人は上杉謙信の許で薫陶を受け、精神を学び、謙信亡き後の越後の維持に努めていた頃、京より、織田信長が明智光秀に討たれたという本能寺の変の一報が届く。
著者等紹介
火坂雅志[ヒサカマサシ]
1956年、新潟県生まれ。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経て88年『花月秘拳行』で作家デビュー。上杉景勝の家臣、直江兼続の生涯を描いた『天地人』が2009年のNHK大河ドラマの原作となり、2007年第13回中山義秀文学賞を受賞した。現在、最も注目されている歴史小説家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
304
『天と地と』を読み終わって、もう少し世界に浸りたい時にちょうどいいのがこの作品。読むのは二度目。前に読んだ時は上中下巻の愛蔵版だった。そちらには直江兼続の甲冑の写真がついており、それを見てからは、戦国史上、最高に格好悪い鎧の武将、という印象が拭えなかった。改めて鎧画像抜きで読むと、出来すぎなくらいの快男児ぶりが眩しく、景勝との主従関係には憧れるほど。謙信の死から御舘の乱で引き込まれ、忍び寄る信長の影からの本能寺の変と、程よく緊迫感のある展開で上巻は終了。後半には幸村も登場し、下巻への期待感十分。2020/05/11
とん大西
114
大河を視るまで直江兼続といえば、「花の慶次」での男っぷりが純粋にカッコいいなぁと思ってました。で、本作でも期待を裏切らない男前な振る舞いに魅了されます。英雄謙信に師事し、若くして上杉の支柱となった兼続。斜陽の武田家との同盟交渉は一歩間違えれば危険かつ愚策の謗りを受けるミッション。が、この決死の妙計が名門上杉の勢威を挽回へと導いていく。まさに歴史の妙。劇熱にして冷静。時流を読み時流に乗る兼続の智謀。それはまさに「死中にこそ生あり」の不退転の覚悟があるからこそ。それこそまさに師・謙信の薫陶があったればこそ。2019/09/28
優希
81
面白かったです。上杉に仕え、景勝の腹心となった直江兼続。若くして得た絆と精神を学んだことで、謙信死後の越後を守れたのだと思います。上杉という中で欠かすことのない人物へと成長していく兼続の姿が頼もしい。そんな折での本能寺の変。戦国時代はどのように動くのか、兼続の軍師としての働きはいかなるものなのか、下巻も読みます。2018/06/06
びす男
81
風雲急を告げる戦国時代。巨星・謙信を失った越後の国で、天の時・地の利・人の和を備えた主人公の兼続が台頭する。著者の火坂雅志さんは若くして亡くなった作家さん。謙信、兼続と同じように、彼も新潟県民の誇りの人に数えられている。スイスイ読み進め、本能寺の変によって天下の情勢が変わったところで、物語は後半へ。2017/09/01
如水
36
歴史大河ドラマ原作…ですが、実は極骨太。直江兼続が主人公で上巻は第一次上田合戦前迄。題材通り「天の時、地の利、人の和」がテーマだと思われがちですが、僕はズバリっ‼️『利か?義か?』かと。戦国時代に『義』を掲げ、席巻した上杉軍団。この稀有で奇妙な軍団の成り立ち、それが出来た要因、謙信死後の混乱からの建て直し。上杉家中でも利に走った人物もおれば義を第一とした人物もおり、謙信死後の上杉家を義で纏め上げた兼続の手腕(人柄?)に注目です。『正義は勝つ』なぞ考えもしない戦国時代、こんな軍団も居て良いんじゃない?🤩2019/05/26
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- 和書
- 西蒲原の夜明