出版社内容情報
近代化の中で失われゆくインドの美。いにしえをたどり、画工の小集落までたずねる旅が生んだ珠玉のノンフィクション。新章書下ろし。
内容説明
地球上、インドでのみ特異な発達を遂げてきたミニアチュール(細密画)。近代化のなかで失われていゆく伝統の美をたどり、画工のもとをたずね続けた著者の四半世紀近くにわたる旅が生んだ傑作、ついに文庫化。第19回講談社ノンフィクション賞受賞作品。インド・アート復権の兆しをみせる2000年代を報告する新章を書き下ろす。
目次
第1章 蒐集狂
第2章 最後の細密画家
第3章 神の住む町
第4章 ガンシャム・シャルマの時代
第5章 「パーリーから来た者」
第6章 ライヴァル
第7章 狂おしい夜
第8章 宇宙からの絵画
終章 「小さな絵」
著者等紹介
山田和[ヤマダカズ]
1946年(昭和21年)、富山県礪波市生まれ。出版社勤務ののち、作家に。『インドミニアチュール幻想』(平凡社、1996年)で第19回講談社ノンフィクション賞を受賞。2007年の『知られざる魯山人』(文藝春秋)では第39回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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allite510@Lamb & Wool
9
講談社ノンフィクション賞受賞作。植民地時代から独立の過程で、作品は散逸し、画家も観光客受けのいい土産物絵描きに変質していき、何百年も続いた芸術の伝統が失われていく、その様子が鮮やかに描かれている。辛うじて残る精密画家たち、骨董屋との駆引き、破滅的コレクター、音楽やインド思想と絵画の関係など、22年にも亘る取材を元に描かれるストーリーはどれも素晴らしく面白い。普通に訪れただけではなかなか触れられないディープインドの一側面。音楽や思想との関係の部分には特に興味をそそられた。インド恐るべし。2018/11/02
J.T.
1
デリーの博物館で見た細密画に魅了されたので読んでみた。リスの尾っぽで独特な形の筆をつくるところなど、面白かった。もっとカラーの図録が載っていたら良かった。2014/11/29