内容説明
ある日、腰を痛めた新選組の近藤勇は、腰痛に効き目がある洛南の藤森神社に出かけて、偶然見つけた揉み治療にかかることに。按摩の女はなぜか自分の顔を見せようとしない…。京の町に棲む魑魅魍魎と人斬り集団が交わる時、都と新選組の真の姿が浮かび上がる。従来とは全く違う新選組像を活写する傑作短篇集。
著者等紹介
火坂雅志[ヒサカマサシ]
1956年、新潟県生まれ。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経て88年『花月秘拳行』で作家デビュー。『天地人』(上・下)が2009年のNHK大河ドラマの原作に決定。同作で第13回中山義秀文学賞を受賞。現在、最も注目されている歴史小説家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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びす男
65
読みやすくて面白く、空いた時間に読み終えられる短編集だ。伏線の張り方は悪くないと思うし、結末も無理のないものが多い。実在した人物を描き出して再び歩き出させることは、非常に神経を使う作業だろう。「この人なら、こんなことはしない」ということを把握していないといけないからだ。血気盛んな若者たちを描くなかで、お決まりのように男女関係が出てくるのも著者の特徴のひとつなのだろう。司馬遼太郎の新撰組血風録や燃えよ剣とは、また違った楽しみ方ができた。2015/08/12
財布にジャック
63
珍しい切り口の新撰組の短編集でした。新撰組の敵って魑魅魍魎?それとも、美女?意外な短編集でウフッてなってしまいました。完全娯楽物だと 割り切れば、すらすら読めるし、通勤のお供には最適でした。前にも何か別の本のレビューで書きましたが、一番先に新撰組物としてこれを読むのはお勧め出来ません。あくまでも、いつもの堅苦しい新撰組物では、もう飽きたという方向きです。2012/07/04
Die-Go
57
新選組にまつわる怪奇な話を集めた短編集を、『天地人』の火坂雅志が著す。それぞれの話が史実を元に描かれていて、そこに怪奇な解釈をもたらすことによって、なんとも言えない味わいを醸し出している。新選組の物語を粗方読み尽くして、新たな視点が欲しいって方にお奨めかも。★★★★☆2017/06/05
ブルちゃん
33
この前読んだ人魚の肉と少し似てるんだけど、人魚の肉が、物語にどっぷり惹き込まれるのに対し、こちらは良い意味で軽い😄そして若干エロい🤫笑 藤堂平助の話が一番好きかな💕2020/04/05
キコ
19
最近お気に入りの火坂先生の新撰組ものということで、読んでみました。舞台はみんな京都。う、うーん、か、軽い…。これが「天地人」と同じ作者だろうかってくらい。安いメロドラマ、またはホラーものというか。個人的に新撰組隊士には理想像というものがあるので、「えー藤堂さんはそんな人じゃないのに。。」とか思ってしまうこともしばし。しかし江戸出身の隊士たちが、京都の神仏をやたらと仰ぐ人達や「好いても惚れぬ」京女に翻弄されたりするのは面白かったかな。2017/01/25