出版社内容情報
大阪下町の中華料理店で育った兄弟は見た目も違えば性格も違う。人生の岐路に立つ、どこか不器用で誠実な2人をユーモラスに描く。
内容説明
大阪の超庶民的中華料理店、戸村飯店の二人の息子。要領も見た目もいい兄、ヘイスケと、ボケがうまく単純な性格の弟、コウスケ。家族や兄弟でも、折り合いが悪かったり波長が違ったり。ヘイスケは高校卒業後、東京に行く。大阪と東京で兄弟が自分をみつめ直す、温かな笑いに満ちた傑作青春小説。坪田譲治文学賞受賞作。
著者等紹介
瀬尾まいこ[セオマイコ]
1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年、単行本『卵の緒』でデビュー。05年『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞を、09年『戸田村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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ラジる男の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
544
『冗談抜きで、俺と兄貴は仲が悪い。』という兄・ヘイスケと弟・コウスケ。『全ての人が阪神タイガースをこよなく愛し、吉本新喜劇で爆笑し、オチがない話をすると、「それがどないしたん」と戸惑われてしまう町』という大阪のど下町にある戸村飯店で育った兄弟二人の一年が描かれるこの作品。大阪と東京を舞台に、食べて、怒って、笑って、泣いての一年を綴った、とても楽しくて愉快なこの作品。強烈な書名と表紙のインパクトからなかなか手が伸びなかった作品でしたが、これは『ほんまに』お薦めな傑作。大阪のいい味を堪能させていただきました。2021/07/09
Die-Go
418
図書館本。実際に兄弟仲のあまりよくない自分からすると、この兄弟の微妙な距離感と言うのはわかりそうでわからない部分もあり。でも、優しい気持ちで読める内容ではあった。★★★☆☆2016/01/12
エドワード
376
私にも人懐っこく陽気な弟がいて、街の人から「兄貴はクールで気取っている」とよく言われた。ところが京都から東京へ出て来て、「なんでやねん」「アホかいな」と言っているだけで、気取らない気さくな人という印象になるから、人生は不思議だ。ヘイスケの気持ちがわかり過ぎる。京都なんてベタで人の噂話ばかり好きで、とにかくこの街とはオサラバだ、と東京へ行くところまで同じだ。瀬尾まいこさんは何故ここまで関西人の心を読めるのか?あっ、大阪府出身だった!あと、健やかな古嶋クンはきっと小説家にはならないだろう、というのも笑ったな。2013/05/29
niisun
350
このタイトル。昔見た“吉本新喜劇ギャグ100連発”のDVDを思い出して思わず笑ってしまいましたよ(笑) まさに、青春100連発❗兄弟揃いも揃って“青春”が溢れだしてますねぇ♪ そして、登場人物たちが皆、イキイキと躍動しています。自分も男二人兄弟の次男なのでかなぁ、兄のヘイスケもいいけど、やっぱり弟のコウスケのエピソードがいいですね❗憧れの岡野さんも、合唱際で仲良くなった友達の北島くんも、ホントにいいキャラです。これまで瀬尾さんの作品はいろいろ読んできましたが、一番好きな作品かもしれません。2020/12/11
yoshida
312
大阪の中華料理店・戸村飯店で育ったヘイスケとコウスケ兄弟。二人の葛藤と成長が暖かく、そして少し切なく描かれる。タイプの違う二人。何となく兄が苦手な弟。交互に二人の視点で描かれ、実際のお互いの想いが見えて来る。ヘイスケとアリさんの付き合いが、とてもリアルで良かった。先に帰ってしまったアリさんへのヘイスケの気持ち。二人でぶらぶら歩く街。部屋に帰って怠惰に過ごす様子。春の夜にヘイスケがラジオの曲を聴いて、自分の想いに気付く場面がとても好きです。父の封筒の手紙も暖かい。帰るところがある事は、とても幸せだと思った。2017/12/17