出版社内容情報
3人のアドルフは死んで、祈りだけが残った
ヒットラーと2人のアドルフの運命は戦争をはさんで、大きく変転する。ドイツ、東京、中東と舞台を移し、遂に最後の時を迎えた!
担当編集者より
1939年9月、ドイツ軍のポーランド侵攻によって第2次世界大戦は始まった。ヒットラーは破滅への道を歩み始めた。カウフマンは優秀なナチ青年将校となり、ユダヤ人迫害に手を貸すことになる。神戸のカミルは、ヒットラー出生の秘密を示す文書を入手。この事実を全世界に公表すべく、ソ連スパイ・ゾルゲの組織に近づいていく——。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Vakira
53
ヒトラー・ユーゲントに無理やり入団させられた反ナチスの一人の主人公アドルフ・カウフマン、中国のスパイを捕らえたことからユーゲントからヒトラーの秘書に抜擢。反ナチスからナチズムへ段々傾注していく。ユダヤの少女エリザへの恋慕。ア~こりゃ「ジョジョ・ラビット」感。いやいやこの作品今から36年も前。タイカ・ワイティティ監督この本読んでた?なんて思ってしまうほど。日本人がこんなドイツの物語作れる事が凄い。かなり綿密な設定。親友のお父さんを射殺する羽目に・・・カウフマンが勉強していたヒトラーの「我が闘争」読んでみたい2021/04/07
佐島楓
44
ついに第二次世界大戦勃発、ユダヤ人への迫害も激しくなっていく。目を覆いたくなるような現実のなか、秘密文書は最後まで守りきれるのか・・・。四巻へ。2015/11/14
えちぜんや よーた
19
言わずもがなのアドルフ・ヒトラー。三人目のアドルフ。この人だけが史実の人物。2012/09/03
fu
17
昭和15~6年ユダヤ人アドルフが受難の日々を送る一方、ドイツ人アドルフ・カウフマンの葛藤は続くも、総統付き秘書へ。運命の歯車がますます軋む。2015/11/14
白義
12
若い身にはナチズムを植え付けられながら、半面ではユダヤ人であるカミルとの友情やエリザへの恋慕にカウフマンの矛盾と煩悶が痛々しいものを感じさせる。民族やイデオロギーだけでなく、同じ思想でもわかりあえないという閉塞的で未来の見えない現状がとにかく悲惨で人間の愚かしさを強く知らされる。ヒトラーの描写は神がかり的に上手く、芸術家としての自分に酔い、ぶつぶつとした呟きからいきなり叫び出すところがヒトラーらしさ全開2014/01/19