内容説明
きみがそうやって生きているのは、おれがまだタマシイをつかまえているからなんだぜ―ウヅマキ商會を営む橘河にタマシイを拾われた岬。蛇を捕まえたり、昭和32年生まれの少年に傘を届けたり、アルバイトとして様々な雑事を引き受けるが、背後には常に怪しげな気配が…。時空を超えて煌く8篇の和風幻想譚。
著者等紹介
長野まゆみ[ナガノマユミ]
東京生まれ。1988年『少年アリス』で文藝賞受賞。文芸各誌で活躍を続けながら、自らの著書の装画も手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
64
時空を超えて煌めく和風の幻想譚が美しいです。あらゆる境界線が曖昧で謎めいているのが心地よかったです。現実なのか夢なのかわからず、時折出て来る隠語が艶っぽくて長野さんらしい感じがします。耽美で上品な雰囲気と妖しい色気が素敵です。独特の会話、色鮮やかに浮かぶ日本画のような世界観に惹かれ、ふわふわと漂う読書の時間が贅沢に感じられました。2014/12/03
なつ
41
『よろず春夏冬中』に収録された「雨師」の続編。橘河が社長を務めるウヅマキ商會で働くことになった市村。この世とあの世、過去と現実。その境界線を行き来しては不思議な現象に巻き込まれる。フワフワと浮遊している感覚になります。雲をつかむような展開で難解だけどそこがいい。そこはかとない匂いもまた・・・2020/03/28
橘
24
和風で不思議な雰囲気が素敵でした。何が起こっているのかよくわからないところもありましたが、妖しく耽美なお話たちでした。好きです。2015/01/11
きゅーま
23
『空蝉』『蛻のから』『こうもり』『やどかり』『うろこ』『わたつみ』『かげろう』『あまやどり』収録の、現世と異界のはざまを揺蕩うモノ達の日々を描いた連作短編集。本来死んでいたところを橘河に魂を拾われたおかげで生き延びているため、橘河の営む何でも屋・ウヅマキ商会で半ば強引に働かされることとなった岬。時に持ち込まれる奇妙な依頼―死んだ娘との婚礼、昭和32年生まれの少年へ傘を届ける…-どこか懐かしい世界、異界と現世を揺蕩う感覚に酔い、様々な依頼を通して描かれる登場人物たちの微妙な関係と心の揺れ動きにどきどき。2013/12/21
yourin♪
23
『よろず春夏冬中』の1篇『雨師』のその後を描いた物語。 幻想的で怪しい雰囲気が好みです。 夢か現か幻か・・・時も空間も超えた不思議な世界に陶酔しました。 橘河、仲村、市村兄弟が何者なのかが次第にわかっていくけれど、陰を含んだ表現、オブラートで包んだような描写、私にはどれくらい理解できたのかなぁ・・・。2011/08/15
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