文春文庫
円を創った男―小説・大隈重信

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  • サイズ 文庫判/ページ数 333p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167753474
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

日本初の政党内閣の首班にして、早稲田大学の創設者―。一般に大隈重信の業績といえばこれに集約されるが、大隈がその能力を最大限に発揮したのは、明治4年の「新貨条例」の布告によって完成された幣制改革であった。新通貨「円」はいかにして生れたのか。若き日の大隈の苦闘を描く傑作歴史小説。

著者等紹介

渡辺房男[ワタナベフサオ]
1944年、山梨県甲府市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。NHKディレクターを経て、現在(株)NHKエンタープライズ・プロデューサー。1999年、『桜田門外十万坪』で第23回歴史文学賞受賞。同年、「指」で第18回世田谷文学賞受賞。2001年、『ゲルマン紙幣一億円』で第15回中村星湖文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kawa

38
明治初期、政府の最高首脳として活躍した大隈重信が主人公。氏の具体的な功績には疎かったのだが、本書では大蔵省を率いて「円」を基本とする統一貨幣制度を創った功績に焦点を当てる。維新小説として経済面に焦点が当たりで興味深く読了。剛腕手法で伊藤博文、井上馨、渋沢栄一らを率いて大久保利通に疎まれたり、明治後期には伊藤や井上とも対立する等、その人間模様が面白いのだが、いかに強引・剛腕であったかのエピソ-ドがもう少し入ると、よりリアル感が増したのではないかな。2021/02/25

月をみるもの

18
現在では、早稲田創始者=在野代表みたいに扱われている大隈だが、じつは2度にわたって首相を努めている。一方で明治の初期には、伊藤や井上を部下として大蔵省を設立し、30代前半で日本の貨幣制度の基盤をつくっていた。「在野」だった期間は、明治14年の政変で(かつての部下だった)伊藤や井上に政府から追い出されあと〜板隈政権をつくるころまでの間、だけなのだから、実際は「官」の側にいた時のほうが長いのだ。それでも、「野」のイメージが強いのは、薩長ではなく肥前という微妙な位置の班の出身だったからなのかも。2021/03/28

よし

7
大隈重信が日本の幣制改革に挑む姿を描く。後年、対華21箇条の要求を出すなど、内閣首班としての力量にはやや疑問符もある重信だが、財政面での知見、手腕は当代随一であったことが覗える。由利公正が音頭をとって導入した太政官札の後始末に苦悩しながらも、西洋列強に伍する貨幣の導入に奮闘する重信 の姿はとても頼もしい。もう少し政党政治家としての重信の活躍も描いて欲しかった。2015/03/08

Monbe Sakai

4
新貨「円」をはじめ、鉄道や太陽暦の導入など明治初期の諸改革を直接実行したのが大隈重信だったことを知りその驚くべき手腕に感心しました。さらに郷里の偉大な財政家・由利公正がどのようにして失脚したのか?経緯を理解しました。2018/11/18

シュラフ

4
大隈重信は佐賀藩出身。後に政界を下野して早稲田大学を開設するが、この小説では大隈重信と円の制定について書いてある。大隈重信は、新貨条例制定だけでなく、キリスト教禁令をめぐるイギリス公使パークスとの交渉など凄腕だったようである。佐賀藩と言えば葉隠精神。藩の命令には犬のように従順な藩風であるが、大隈重信はこれに反発。早稲田大学の在野精神には葉隠精神に対する反発心が背景にあるという。   2012/12/06

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