文春文庫
明るい夜

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 269p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167753122
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

ふいに消えた女ともだち、小説を書くために仕事を辞めたのに最初の一行が書けない「彼」、眠れない「わたし」。アルバイトでその日その日をつなぐ若い男女のよるべなく、ささやかな生。京都・鴨川べりの古アパートから火祭の夜へ、絶妙な語り口ですくいあげられた、若い日の確かな手ざわりが爽やかな感動を呼ぶ傑作。

著者等紹介

黒川創[クロカワソウ]
1961年京都市生まれ。同志社大学文学部卒業。1999年「若冲の目」で第21回野間文芸新人賞候補。2001年「もどろき」で第14回三島由紀夫賞候補、ならびに第124回芥川龍之介賞候補。2002年「イカロスの森」で第127回芥川賞候補。2005年「明るい夜」で第18回三島賞候補。2008年「かもめの日」で第21回三島賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はらぺこ

54
年配の登場人物が喋ってるところを読むのは心地良かった。イズミちゃんが語る「愛宕さんの火祭」の話はテレビのドキュメンタリー番組(『新日本風土記』やったっけ?)を観てるような気分になった。2014/01/06

エドワード

29
京都は不思議な町で、私は「こんな田舎はダメだ!東京へ行くぞ。」と思ったけど、全国から「京都で暮らしたいわ~」と学生が集まってくる。出町柳にある古いアパート。風呂なし共同台所で月2万4千円って、それ40年前の東京の私の下宿の相場よ。そんな稀少な文化財?に住み、バイトで気ままに暮らす朋子チャン。イタ飯屋のイラン人は「大学出たら就職するものだろう?」と首を傾げるが、日本の若者には、モラトリアムこそが大切な気がする。自由な自分探しの時間だ。そんな若者に鴨川は優しい。イズミちゃんと工藤君も、必ず道は開けるさ。2022/01/17

ホースケ

13
京都市内でも出町柳の界隈は、お気に入りの場所だ。鴨川の河川敷のベンチに座り、行き交う人をのんびりと眺めるのもいい。そんな近辺に暮らす若者のお話。何者にもなれない、だが妥協はしたくない、迷いながら、模索しながらの毎日。若者だけではない、高齢の大家さん、元職人の隣人や、バイト先の外国人が暮らす京都。世代や国籍が違えど、生活者目線での描かれ方がリアルで、それぞれが悩みや葛藤を抱える。しかし京都弁の台詞のせいもあるのか、のほほんとした雰囲気が漂いながらも、逞しく生きる姿に励まされる。タイトルの『明るい夜』も素敵だ2024/05/08

ちょこまーぶる

13
情景描写・人物描写は素晴らしく思ったが、内容的には作者が何を読者に問いかけているのかが、はっきりとは分からなかった。自分の読書力が劣っているかもしれないが、それにしても飄々と話が進むだけで、良く最後まで読んだなと思ってしまうほどでした。ただ、読後に若者の寂しさだけは感じたかな。おそらく、この本は途切れ途切れに読む本ではなく、一気に読むことをお勧めしたいと思う。2013/10/23

yashi_masa

10
初めての著者です。現在と今、始まりの初まり。とても暖かい文書でした。京都に住む三人の若者が今と故郷に想いを寄せる物語でした。文章の構成が前後左右するのは多分常日頃から私たちにも良くある想像なのだろうな、と思いながら読んだから難しい印象はありませんでした。ただ、この三人がどのように着地するのかが気になってずんずんと読み進められたという印象です。終始、ゆったりした足取りで、一般的な社会から隔絶した雰囲気は休日の昼下がりのように滑らかでした。他の作品も読んで見たいと思える作家さんです。2017/02/09

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/544190
  • ご注意事項

最近チェックした商品