内容説明
自らも数学者である著者が、天才数学者―ニュートン、関孝和、ガロワ、ハミルトン、コワレフスカヤ、ラマヌジャン、チューリング、ワイル、ワイルズ―九人の足跡を現地まで辿って見つけたものは何だったのか。この世にいて天国と地獄を行き来した彼らの悲喜交々の人生模様を描くノンフィクション大作。
目次
神の声を求めた人―アイザック・ニュートン
主君のため、己のため―関孝和
パリの混沌に燃ゆ―エヴァリスト・ガロワ
アイルランドの情熱―ウィリアム・ハミルトン
永遠の真理、一瞬の人生―ソーニャ・コワレフスカヤ
南インドの“魔術師”―シュリニヴァーサ・ラマヌジャン
国家を救った数学者―アラン・チューリング
真善美に肉迫した異才―ヘルマン・ワイル
超難問、三世紀半の激闘―アンドリュー・ワイルズ
著者等紹介
藤原正彦[フジワラマサヒコ]
昭和18(1943)年旧満州新京生まれ。新田次郎・藤原てい夫妻(共に作家)の次男。東京大学理学部数学科卒業。同大学院理学系研究科修士課程数学専攻修了。現在、お茶の水女子大学理学部教授。数論専攻。昭和53(1978)年、留学記『若き数学者のアメリカ』(新潮文庫)で日本エッセイスト・クラブ賞受賞。近年は国語教育に関する問題提起をはじめ、国家の根幹を問う果敢な発言が注目されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mae.dat
153
書こうとした事は、後書きに儂より深く書かれていたので、そちらを参照されたい。数学はその抽象性から、別の各分野を横断して使用するツールとして強力な武器となりますが、こと文学との親和性は高くないと思っていました。取り分け詩歌などに、数学のそれと共通する美しさがあると9人中3人が示唆すると言う事に驚きと戸惑い。儂レベルがそうなのかもと思うよりずっと深い所で結びついているのでしょう。本書の解説は『博士の愛した数式』の小川洋子さん。『博士の愛した数式』の解説は、本書の著者さん。良い関係ですね。日本人は、関孝和を知っ2021/01/06
ヴェネツィア
109
ニュートンからワイルズまで、つまり17世紀から現代までの天才数学者9人の評伝集。小川洋子さんのエッセイを読んで知った本。確かに彼女が語るように、たとえ数学が苦手でもその凄さは十分に実感できる物語群だ。中でも、壮絶さと物語的な面白さでは20歳で決闘に散ったガロワが、突き抜けた天才という点では、もう魔術師のごときラマヌジャンが群を抜く。そして、我らの同時代ではフェルマーの最終定理に解を与えたワイルズがいる。ニュートン研究所での最初の講演、そしてプリンストン大学が証明の完成を公表したくだりなどは鳥肌が立つほど。2013/06/02
財布にジャック
80
「天地明察」の関さんのことをもっと知りたいと思って読み始めたら、嫌な雲行きになってきました。この本の内容事実なんですよね?関さんが評価されたのは死後30年以上後とか・・・悲しすぎます。そして、他の8人の数学者の方々も関さんに負けず劣らずドラマチックな生涯でした。特にホモセクシャルなチューリングさんの人生にいたく同情したり、コワレフスカヤさんの章のドストエフスキー登場に嬉しくなったりしながら、数学嫌いな私でもサクサク読めて、親切な本でした。最後の解説が小川洋子さんなので「博士の愛した数式」を思い出しました。2011/02/03
ntahima
69
著者との出会いは場末の変哲もない古本屋の百円均一。「若き数学者のアメリカ」。大した期待もなく読み始めたがこれが面白い。直ぐに新刊書店に走り「遥かなるケンブリッジ」を購入。但し「国家の品格」を読んで以来離れた。専門外のことを語るのが悪いとは言わない。ただ共感できなかっただけ。久しぶりの藤原本。やっぱり著者には数学モノがよく似合う。天上より舞い降りし無垢の天才ラマヌジャン。そして「罪と罰」のソーニャがここに居た。さらに、あのワイルズに関孝和。次なる読書は当読書メーターでも評判の和洋各一冊。至福の数学週間なり。2010/10/09
香菜子(かなこ・Kanako)
39
天才の栄光と挫折―数学者列伝。藤原正彦先生の著書。天才であっても劣等感を感じて挫折して苦悩することがある。だからこそ天才と呼ばれて評価されるのかも。自意識過剰で自信過剰で井の中の蛙大海を知らずでは努力を怠ってしまうから、それでは天才であり続けるのは難しいのかな。2018/11/04
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