内容説明
ところは中国、栄華を極めた大貴族の邸内に築かれた人工庭園「大観園」。類稀なる貴公子と美しき少女たちが遊ぶ理想郷で、奇々怪々な連続殺人が勃発します。衆人環視の中で消え失せる犯人。空を飛ぶ被害者…。中国最大の奇書『紅楼夢』を舞台にした絢爛たる犯罪絵巻は、中国古典ファンも必読の傑作ミステリー。
著者等紹介
芦辺拓[アシベタク]
1958年、大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。新聞社勤務の傍ら執筆活動に入り、86年「異類五種」で第2回幻想文学新人賞佳作に入選。90年『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
97
登場人物が多い上に中国の時代物って事で誰が誰だがさっぱり判らない事が多くて読み終えるのに時間が・・・。世界観を楽しむ作品って感じ。2015/05/29
mhsr
8
中国の古典、『紅楼夢』を舞台とした、美しい推理小説。原作は知らなかったが、全く問題なく読めた。人物名が読めなくて苦労するかと思ったが、以外と何とかなる。むしろ小説としては読みやすいくらい。ミステリとしてのある仕掛けを、全く自然に成立させてしまう手腕はさすが。真相が分かっても、幻想的な魅力が崩れないのも素晴らしい。実に幸せな読書体験だった。2015/06/17
サト
8
初・芦辺拓。『紅楼夢』を舞台にした連続殺人。予備知識を全く持たずに読んだので登場人物を覚えるのには非常に骨が折れた。慣れてからは紅楼夢の世界観と事件を彩る怪奇的な装飾に興味をそそられる。トリックは明かされてしまえば驚きはない。それよりも魅力的なのは動機。本作におけるメタ・ミステリ的な趣向が物語と乖離せず、むしろ真相に強く解け合っている。どの程度まで原作に忠実なのかは詳しくないけれど、人工庭園の永久に美しく刹那に消える情景には目を見張るものがあり、結末が全てと言っても過言ではないほどの余韻を残す読後感だった2012/03/05
alleine05
6
読み始めたときはやたらと多くの登場人物の名前が出てきてどうなることかと思ったが、意外と読みやすくて良かった。しかし中盤あたりは多少中だるみを感じた。最後の謎解きもひと捻りはしてあるもののかなり強引で、「あっと驚く真相」というより「なんだ、そんなオチか」という印象。エピローグもすっきりしない終わり方で、読んでいる間は読みごたえがあってなかなか楽しめたのだけど、読み終わってからふりかえってみるとどうも微妙な読後感の作品だった(原作を読んだことがないからそんなふうに感じてしまうのかもしれないが)。2014/12/28
カナリア
5
終わり方が幻想的でした。名前が覚えにくいですね(笑)2011/02/24