内容説明
地方都市にある高校で、ウリをやっているという噂のために絡まれていた琉璃を、偶然助けた上級生の周子。彼女もまた特殊な能力を持っているという噂により、周囲から浮いた存在だった。親、姉妹、異性…気高くもあり、脆くもあり、不器用でまっすぐに生きる十代の出会いと別れを瑞々しく描いた傑作青春小説。
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年、岡山県生まれ。青山学院大学文学部卒業。『バッテリー』で第35回野間児童文芸賞、『バッテリー2』で第39回日本児童文学者協会賞受賞、『バッテリー1~6』で第54回小学館児童出版文化賞受賞。近年、一般文芸や時代小説にも枠を広げ、活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おかむー
66
自分の嗜好を恐れ孤立する少女、動物や植物の声を聞くことのできる美しいひと、年上のひとを本気で愛し失った少年。如何様にでも激しくできる設定を、あえて起伏を抑え激しさを秘めた微妙な距離感の描写が見事。『たいへんよくできました』。特殊な要素で孤独感や苛立ちを強めてはいるけれど、根底にあるのは十代らしい自分自身への迷いや苛立ち、まさに解説にある「思春期の人々は、ふきげんです。」。穏やかに救われる結末にはなっているけれど、彼女たちはこの先も傷つきもがいてゆくのだろう。でもその度にわかりあってもゆくのですよ。2015/02/21
ゆゆ
35
あさのあつこ作品は『バッテリー』しか読んだことがなく、また予備知識なく読んだのでこういう展開になると思いもせず…ちょっと驚いたまま読み終えてしまったという感じ。嫌悪するつもりはないけど、想像すらできない世界なので、そうなんだ、なるほど…といった感想しか抱くことができなくてちょっと申し訳ない気持ち?になってしまった。10代の中高生たちの心の内は、見かけだけでは計り知れないなと改めて感じた。きっと20代やそれ以降の大人たちよりもずっとずっと奥が深いと思う。そのことを心に留めて…10代の我が子達と向き合いたい。2016/10/26
hrmt
33
思いもかけずの初百合もの(こう言っていいのかどうかわからないけど)でした(^^;;10代の繊細な透明感とでもいうのでしょうか、周囲から浮きまくっている2人の、お互いを求める真摯な声が率直で美しいと感じます。男女のそれは、早々に肉体への欲望に絡め取られてしまいがちだけれど、同性の相手に対する好意はより精神的充足が大きな割合を占めるから?男であれ女であれ、自分以外の誰かに心から魅かれて真剣に求める。誰かを想って自分の人としての成長が促される。それってとても素敵な事よね〜と、汚れちまったオバさんは思うのでした。2016/10/25
i-miya
33
2011.11.29 あさのあつこ著。 (カバー) ウリやってると絡まれた琉璃、助けた周子。同じ浮いた存在同士。親、姉妹、異性・・・。不器用でまっすぐ。出会いと別離。みずみずしく。(あさのあつこ) 1954、岡山生まれ、青山学院大学文学部卒業。2011/11/29
琉愛
32
不器用でも恋をして、本気で好きになったけれど、相手は自分のことを心から愛してくれていたわけではなかったという内容の文章がとても刺さる。…ありふれているかな?と思いましたが、どこか私にも心当たりのある、なんだか懐かしい感じがしました。ひとつひとつの動作の表現がとても美しくて好きです。2017/09/30