内容説明
リストラされた父親が失踪。14歳の次男は陸上部をやめ、17歳の長女は優等生をやめ、27歳の長男は家計のために肉体労働。42歳の母は昼から酒浸り。73歳の祖父はボケが進行…。残された5人、それぞれの思いと、次第に浮かび上がる須藤家の秘密。家族の崩壊と再生を明るく熱くポップに描いた最高傑作。
著者等紹介
三羽省吾[ミツバショウゴ]
1968年岡山県生まれ。2002年『太陽がイッパイいっぱい』で第8回小説新潮長篇新人賞を受賞しデビュー。2006年、第2作目の『厭世フレーバー』(文藝春秋)で吉川英治文学新人賞の候補になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やも
74
祖父、母、長男、長女、次男。この一家は全員、ままならない世の中にムカついている。だいーぶムカついてる。世の中にはむしゃくしゃや自信のなさを、自分で変わる努力もせずに、他人に慰めを求める奴がいるからな。そういう奴は嫌いだ。この一家はやけっぱちになっても、ただ文句言うだけじゃなくて、がむしゃらにでも動き出してるから憎めない。周りも気にかけてくれるの、分かるな。なんかほっとけないカンジ。三羽さんの書く肉体労働とか、汗の描写ってなーんか好きだなぁ。2024/06/24
はつばあば
64
とても若い感覚で物語は始まる。騙されてはいけない。父親が失踪・・よくあること。家庭崩壊・・これもある。死にたい・殺したいが蔓延する今の時代、厭世である。しかし・・戦時中生きたいと願った若者がどれだけいたか。家庭が崩壊しても自分を守る術はある。その点この家族の結束は弱いかもしれないが個々のバイタリティーは凄い。JUNKと同じく一度目は流してしまうが再読後ホ~っと安堵のため息をつく(入院ボケ)2017/08/23
papako
63
これも再読でずいぶん印象が違った。家族とは血の繋がりだけではない。だけど誰も家族!と必死になるわけではなくて、何となく家族として生きていく。なんの疑いもなくそこにいる。そんな5人の家族。初めて読んだ時よりも苦かった。なんでだろ。ま、最後はなんとなく丸め込まれてしまいました。2019/04/24
えりこんぐ
63
三羽さんを読むのは2冊目。あらすじを読むと破綻寸前というか、破綻後で持ち直せるの?と心配になる。サラサラ〜っと読んだけど軽さの中に重さもあって、家族が壊れるのも立ち直るきっかけにもいろいろあるのねぇ。高校生のカナのバイト先と学校のお友達はいい人だ! お父さんが戻ってきたら家族はどうなるのかな。2017/10/21
はらぺこ
59
リストラされた父親が失踪した為に残された家族それぞれの話。最初の『十四歳 ケイ』はケイの言動にイライラしたので読むのを止めようかと思ったけど、それ以降は段々と読み易くなっていった。ケイと同世代なら共感出来たんかなぁ?最後の『七十三歳 新造』はチョット面倒臭かったかな。 テーマは暗いですが全体的には暗さは感じませんでした。2012/05/29
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