内容説明
「大仏をこわしてよ」少年モリオがハトの母に懇願する。幽明の境を越えた母子の物語は中世のキンギョ丸、アイゴ若説話、アイミツ丸の悲劇にリンクし、絡み合う。時空を飛び交い、様々な時代に生れ死ぬ母と子。物語が物語を呼び、記憶が記憶に重なって、豊饒な小説世界が立ち現れる。現代文学が到達しえた驚異の傑作長篇。紫式部文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
著者等紹介
津島佑子[ツシマユウコ]
1947年東京生まれ。白百合女子大学文学部英文科卒。71年はじめての短篇集「謝肉祭」を出版、77年「草の臥所」で泉鏡花文学賞、83年「黙市」で川端康成文学賞、87年「夜の光に追われて」で読売文学賞、98年「火の山―山猿記」で谷崎潤一郎賞と野間文芸賞、2001年「笑いオオカミ」で大佛次郎賞、05年『ナラ・レポート』で紫式部文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。また95年、アイヌ叙事詩仏訳の監修を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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