内容説明
遠い昔の思い出や、幼い頃に聞いたお伽噺、切ない恋の記憶…。夢のかけらのような32篇の小さな物語を、ファンタジックなイラストで彩った、宝石箱のような絵本。ミステリーの書き手としても注目される著者の原点である、詩人、童話作家としての素顔の垣間見える作品集。
著者等紹介
光原百合[ミツハラユリ]
1964年広島県生まれ。大阪大学大学院修了。尾道大学芸術文化学部准教授。詩集や絵本、童話を執筆しながら、98年、初のミステリー『時計を忘れて森へいこう』を上梓。2002年『十八の夏』で、第55回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Rin
78
光原さんのメルヘン。寂しい時、つらい時、孤独な時に読みたくなるような不思議なショートショート。ちょっぴりぞくりとするもの、暖かくなるもの、くすりと笑顔が零れそうになるもの。バリエーションに富んで柔らかな絵も添えられていて、月夜に少しずつ読み進めたくなる物語の数々。昔ながらの耳なし芳一や天の羽衣なども別の視点から描かれていたりするので、わくわくしながら読むことができる。大人だけでなく子どもが読んでもきっと、心に届くものがあるはずだと思えるお話も。また手にしたくなる瞬間が来るはず。大切にしたい一冊です。2016/10/16
アイゼナハ@灯れ松明の火
48
光原百合さんの「メルヘン」(幻想味の強い掌編小説のことをこう呼ぶのだそうです)を集めた作品集。文庫なのに、とても素敵なカラーイラストが添えられていていい感じです。一つ一つのお話は短いのですが、相変らず心の柔らかいところにそっと触れてくる感じが心地よく、優しい気持ちに浸らせてもらいました。切ない系のいいお話が多い中で誠に恐縮なのですが、個人的には『ぬらりひょんのひみつ』がツボにはまりました。こういうユーモア、好きだなぁ。2011/01/08
昼夜
47
この本にはいろんな登場人物がいてそれぞれの生活、孤独があってそれでいいのだと言われてる気がしました。今の私はそれが普通だとわかるけど中高時代に出会っていたら大切なバイブルになっていただろうなと思いました。胸の中の背中を丸めた子どもな自分を後ろから抱きしめられている気分で心地よかったです。2013/01/30
瑪瑙(サードニックス)
40
ファンタジーかと思ったのですが、ホラー的な話もありました。一番印象に残ったのは『天馬の涙』どうやら私は切ない話が好きなようです。いろんな童話や昔話のその後が書かれてあるもの面白かったです。【2019年花鳥風月読書会】参加にて読了2019/12/03
あつひめ
35
心を休めたい時に読むのにいいような気がした。物語と挿絵の美しさ。最近では病んでいる大人が多い。人を罵り愚痴をこぼし・・・自分の事は棚に上げて人ばかりを批判する、そんな偏った心を物語の裏に流れるメロディで鎮めてみたらどうだろう。夢に入る前のひと時・・・心を穏やかにするために。眠りにつく本として手元に置きたい一冊。2010/08/09