内容説明
「特攻出撃」は本当に志願だったのか。純粋に国を思う美しい魂の発露を綴った隊員たちの遺書は、検閲下でどこまで信じていいのか。鹿児島県串良基地から、一度は死を覚悟して特攻出撃しながらエンジン不調で不時着し、帰還した著者が、遺族や関係者の反撥を承知の上で、万感の思いをもって告白する「特攻」隊員の真実の声。
目次
串良往訪
特攻回顧
特攻に思う
基地の日々
私見「予科練」
雑感
私の体験的死生観―死ねる条件
座談 航跡を辿って
著者等紹介
桑原敬一[クワハラケイイチ]
1926年東京生まれ、岩手県育ち。42年海軍乙種飛行予科練習生第十八期生として土浦海軍航空隊に入隊し、串良基地(鹿児島県)において特攻出撃を体験。終戦は台湾で迎え、46年復員。戦後は、46年から86年まで会社員。その間に日本大学法学部(通信教育課程)卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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すこにゃん
10
出撃するもエンジン不調で帰投した特攻隊員による著書。「永遠の0」と同じ2006年8月に出版されています。台湾部隊からの特攻出撃のうちで途中不時着・帰投機は43.9%にものぼっています。死と向き合い特攻を拒否して引き返した人がどのくらい含まれるか分かりません。しかしいったい誰が彼らを責められるでしょう。若い命を弾同様に使い捨てた上層部に「まず自ら身を以て率先垂範せよ」と痛烈な怒りを綴っておられます。2013/05/12
はるとらみ
3
著者はこの本を書いたことで予科練出身者らから非難されたそうですが私は著者のような人こそが本当に強い人なのだと思う。人間は自分の弱さと向き合って認めてこそ真の強さを手に入れることができると。人によって大なり小なり違いはあろうけれど死と向き合って葛藤しない者はいないだろうと思う人はロボットではないのだから。あの当時の男性は弱さを見せないのが当たり前だったのかもしれないけどそれを本に書いて告白した著者は人として尊敬に値する人だと私は思います。2016/10/26
のる
2
若者たちが 飛び立てば必死とされる特攻隊にどのように配属されたのか。全てが志願とされてきたが、上官の命令が絶対という世の中で理不尽に決められていった内情がわかる。若い彼らが死と向き合わなければならず、そこに納得も出来ないまま飛び立たなければならない…。心がどれだけ押しつぶされそうになっただろう?と想像することも辛いし、その想像が全く追いつかないことも切ない。2014/09/21
一汁一菜
1
「小さな私が巨大な足で大地に踏みつけられ、わめきながら地中に没入してしまいそうな圧迫感」「自分の存在が足元の一匹の蟻にも及ばないように思えて惨めだった」2016/09/14
金吾
0
死と向き合った過去のある人の考えは私にとり大変学ばさせてもらえるものです。ただ死はなかなか克服できません。2016/06/21