内容説明
昭和初期、九州の炭鉱主が愛娘に買い与えたダイヤの指輪。3カラットのダイヤは、高度成長に沸く東京で、工事現場に働く少年のポケットを経て息をのむ結末を迎えるまで、次々と持ち主を変えて数奇な運命をたどる。戦前から戦後への昭和史を背景に、ダイヤの流離の裏にひそむ人間の不幸を描く12の連作推理小説。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909(明治42)年12月、福岡県企救郡板櫃村(現・北九州市)に生れる。53(昭和28)年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。56年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。63年「日本の黒い霧」などの業績により第6回日本ジャーナリスト会議賞受賞。67年第1回吉川英治文学賞受賞。70年第18回菊池寛賞、90年朝日賞受賞。92(平成4)年8月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Nozomi Masuko
19
戦前から戦後への昭和史を背景に、ダイヤの流離の裏にひそむ人間の不幸を描く12の連作推理小説。ひさしぶりの松本作品。短編集も新鮮ではあるが、やっぱり長編をじっくり読みたいかな。2016/11/25
カタコッタ
13
3カラットのダイヤの指輪は殺人事件を引き起こすのか。面白い発想で進んで行く連作。貴重なダイヤモンドの持ち主の履歴が分かっているとは知りませんでしたが次々と流離される指環 をめぐって引き起こされる殺人事件。軽く読め、時代の経過も感じられ、面白く読みました。第一話、市原悦子さんの『家政婦は見た』を思い起こさせる描写もあります。清張先生が原作だったらしいです。2024/05/04
miyatatsu
8
途中からよくわからなくなってしまいました。2019/05/04
ヴァン
7
ひとつのダイヤが次々と持ち主を替えて変遷していく過程で、その女性たちに訪れた運命を描く。重い昭和の戦前のムードは清張の得意とする領域。アメリカ映画でひとつの拳銃が持ち主を替えて事件を起こす、というのがあったことを思い出す。
rinrinkimkim
5
面白かった!ダイヤは最後にとろけるなんてマツキヨのオチがうまいです。あと長靴をかぶせるのもひゃーそうきたか!と。犯人が捕まっていたらせいぜい20年で出てこられたのに、捕まらず完全犯罪になったがために別の事件(闘争)に巻き込まれてあっさり死んじゃう。刑事たちはどっちが得だったかと考えた。なんて終わり方もなんとも職人芸!本書は影武者だった人の本で紹介されていました。こういう方のおすすめ本は掘り出し物で人気のあった点と線とは違うけどスルメイカみたいに噛むほどに味わいが出て良かったです!2020/12/30