出版社内容情報
戦争への道を暴走し始める日本を活写する第4弾
ファッショの嵐が日本を抑圧していく様に肉迫する「小林多喜二の死」「京都大学の墓碑銘」「天皇機関説」「陸軍士官学校事件」を収録
担当編集者より
ファシズムへと暴走していく日本の姿を活写する松本清張の歴史的名著。心優しいプロレタリア作家が特高警察によって筆舌に尽くしがたい拷問の末惨殺された「小林多喜二の死」、破局への一大転換点であった「天皇機関説」。言論の自由を圧殺したものへの、深く静かな怒りが滲む。他に「京都大学の墓碑銘」「陸軍士官学校事件」。
内容説明
ファシズムへと暴走していく日本の姿を活写する松本清張の歴史的名著。心優しいプロレタリア作家が特高警察によって筆舌に尽くしがたい拷問の末惨殺された「小林多喜二の死」、破局への一大転換点であった「天皇機関説」。言論の自由を圧殺したものへの、深く静かな怒りが滲む。他に「京都大学の墓碑銘」「陸軍士官学校事件」。
目次
小林多喜二の死
京都大学の墓碑銘
天皇機関説
陸軍士官学校事件
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909(明治42)年12月、福岡県企救郡板櫃村(現・北九州市)に生れる。53(昭和28)年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。56年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。63年「日本の黒い霧」などの業績により第5回日本ジャーナリスト会議賞受賞。67年第1回吉川英治文学賞受賞。70年第18回菊池寛賞、90年朝日賞受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
123
シリーズ4 小林多喜二の拷問死、京大弾圧事件と東大の美濃部達吉弾圧事件、士官学校事件、刻々と、2.26事件に近づいていく2024/10/04
金吾
36
○陸軍士官学校事件は真相ははっきりしませんが、同じ軍の中で派閥争いを一所懸命やっていたら「そりゃ後世から不可思議な戦争に突き進んだと言われるわ」と思いました。多喜二に関しては同じ人間にここまでできるのかなあと感じました。2021/08/09
金吾
27
○陸軍士官学校事件は226事件へのターニング・ポイントの一つになると考えています。特に村中、磯部をそれまでと異なる処分量刑で結果的に免官にしたのは派閥争いを激化させたのではないかと考えます。天皇機関説については空気に流れやすい国民性を表しているのかなと思いました。2022/10/19
さきん
25
小林多喜二から天皇機関説、陸軍士官学校事件まで。トーンとしてはリベラルより。多喜二の蟹工船なんかは、ほぼ同じ内容の話を都合よく誇張しているところがあり、強い恨みを買ったと思う。一方で、社会的弱者に対して寄り添う優しい気持ちをもつ姿は良いと思った。拷問は、正しい情報を描き出すことがほぼ不可能で、恨みなど感情を暴力に訴える面がある。尋問において、拷問は避けないといけない。天皇機関説は、近代社会における君臨すれども統治せずの原理を紹介したまでだが、封建社会や神の代理人みたいな理解とは相いれない。2021/10/04
KAZOO
25
この巻には「小林多喜二の死」「京都大学の墓碑銘」「天皇機関説」「陸軍士官学校事件」が収められています。よく調べられています。私は表面的にしかあまり知らなかったのですが、当時の特高などというのはなぜそこまでできたのか、あるいはなぜ小林もそこまで頑張れたのか、という疑問がどうしても解けません。京都大学の問題や天皇機関説の問題にしても、蓑田という極右翼が出てくるというのはどうにもわかりかねます。それにしても自分の知らないことばかりだと、感じることしきりです。2014/09/24