内容説明
詩人でありフランス文学の名翻訳者である堀口大學の青春回想記の形を取った一大ロマン。二十歳の大學は外交官である父の任地メキシコに呼ばれた。彼の地で起こった革命のただ中を颯爽と生き、大統領の姪である美少女フエセラに一瞬で心を奪われるが、この恋の行方は…。一千枚が疾走し続ける豪快極まる傑作歴史絵巻。
著者等紹介
矢作俊彦[ヤハギトシヒコ]
1950年、神奈川県横浜市生まれ。コピーライター、漫画家などを経て執筆活動にはいる。『リンゴォ・キッドの休日』『真夜中へもう一歩』などで注目を集めた。84年には「アゲイン」、92年には「ザ・ギャンブラー」で映画監督を務めた。98年『あ・じゃ・ぱん』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、04年には『ららら科學の子』で三島由紀夫賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネムル
14
メキシコの革命と動乱に巻き込まれた、若き堀口大學の血と恋と詩と冒険。新春にふさわしい爽やかな読みごたえ(やたら文体が池澤なっちゃんぽいのが気になるが)。余談だが、これを読むと榎本武揚について知りたくなる。2019/01/03
カワセミ440
7
明治/大正期の日本とメキシコの関係なんて全く知らなかったから、面白かった。堀口大學さんにしても佐藤正午さんが最も敬愛する詩人だった、っていう位の知識しかなかった。パリでもNYでもLAでもなく舞台はメキシコシティ。フランスの統治下だった時代もあったなんて。メキシコ革命・そんな時期に家族と供にそこに居たなんて、驚きです。どこにでも自国の利益のためなら乗り出してくる米国ってホント大国の傲慢というかエゴというか独善というのか・・。明治のニッポン人の気概が感じられるね、大使館関係者たち。矢作俊彦はやはり素晴らしい。2016/01/26
sabosashi
7
ニホン史の教科書を眺めればすぐわかることだが江戸幕府が終わるとき、外国はニホンに一方的な(片務的な)条約を押し付けてきた。 唯一の例外はメキシコで、互恵条約をニホンと最初に結んだ国として記憶される。 しかしながらそのときのメキシコの状態はどうなっていたのか。 メキシコ革命の前夜であり、当時の独裁者によってニホンへ好意的な手が伸ばされたのである。 この親日な独裁者が追放されたとき、ニホンの外交スタッフはメキシコ革命の主人公たちは反動としてニホンを遠ざけるのではないかと危惧した。 2015/01/22
sagatak
5
メキシコ革命初期の物語、それをなんと堀口大学の目を通して見た話。学者さんかなというくらいしか知らなかったので驚きだがその父は素晴らしい外交官だった。スペイン、アメリカと中南米ではやりたい放題だったがもちろんメキシコでも例外でない。現代にも複雑な感情があるだろうことが理解できる。頑張った人々に幸あれと願うばかり。2016/07/04
多聞
5
堀口大學が外交官の父に呼ばれ、メキシコに滞在していた頃のエピソードをベースとした、恋と詩と革命(堀口は実際にメキシコ革命に遭遇している)を描いた一大傑作。何故、この恐るべき作品をもっと早い時期に読もうとしなかったのだろうか? アロン・ドン(全く、とんでもないことだ)!2011/09/11
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