内容説明
天才・奇才が一手に泣き、一手に笑う将棋界。才気煥発の人気プロ棋士が、勝負に生きる将棋指したちの哀歓をときに軽妙に、ときに鋭くつづる。一勝すれば名人確実と浮かれ、一敗すれば引退を考える日々はまさに浮いたり沈んだり。おおむね気楽、でもたまには辛い棋士の毎日を自在の筆筋で描き出す傑作エッセイ。
目次
喜びのリサイクル(後悔、先に立たず;敗戦の夜に…;喜びのリサイクル ほか)
ニアミスとトン死(角栄の影響;がんばれ「浪曲師」;ギネスに挑戦 ほか)
下駄をはくまで分らない(ある碁打ちの最期;詰将棋の天才達;詰パラ三昧 ほか)
著者等紹介
先崎学[センザキマナブ]
1970年6月22日、青森県生まれ。米長邦雄永世棋聖に入門し、81年、5級で奨励会へ。87年、17歳にして四段に昇り、プロ棋士となる。90年五段、94年六段、99年七段、2000年八段。棋戦優勝は、90年NHK杯、91年若獅子戦の2回。夫人は、囲碁の穂坂繭三段
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感想・レビュー
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とびほびこび
38
先崎はんのエッセイ。とかくプロ棋士という立場上、厳格であらねばならぬという昔の棋界の風潮を独特の個性で打ち破ってきた氏ならではの「勝つと嬉しいし負けると悔しい」という素直さと気さくさ溢れる文面は読みやすい。中にはそんな事まで書いて良かったの?とこちらが心配してしまう程。印象深いのは羽生さんと携わった「村山将棋を残す」棋譜には棋士の感受性が表現される、棋譜をたよりに故人を偲ぶ棋士である彼らならではの心意気にはグッときました。渡辺や糸谷達若手の台頭もめざましいですが中年の底力もまだまだ見せつけてほしいものです2015/03/28
緋莢
18
対局に負けた後は「飲んで寝る」、「博打で気を紛らわして寝る」、「女の海に溺れて寝る」の大体三つのいずれかの回答を多くの棋士がしたが、「わんわん泣きます」と答えた佐藤康光、村山聖の棋譜を羽生善治と共に解説しながら、彼の事を思い出し「将棋なんてバーと攻めて、攻められたらガツンと受けりゃいいんだ」、気持ちが晴れ晴れとする将棋を指す郷田真隆・・・プロ棋士の思わぬ一面、対局の勝敗の一喜一憂、お酒やギャンブルの事など 様々な事を書いたエッセイ。 2017/02/12
okame
11
『3月のライオン』の将棋監修でお馴染みの先崎さん。将棋には詳しくないけど、普段見ることのない将棋の世界の話を読むのは楽しいです。全体的に軽いタッチで書かれているけど、なかには重めの話も。羽生さんと一緒に行った故村山聖の棋譜を選定、解説したエピソード、また先崎さんが降級してしまったときのエピソードが印象的でした。2016/01/05
そり
11
将棋棋士では数少ない文筆家、先崎学さん。週刊文春にて書かれたエッセイをまとめたもの。▼パソコンを利用した研究が盛んになっている昨今、それらを嫌ってアナログを突き通す、硬派なトップ棋士がいる。郷田真隆さんである。彼が棋聖のタイトルを取った頃のエピソードが男気に溢れている。言葉だけ挙げるなら「将棋なんてバーと攻めて、攻められたらガツンと受けりゃいいんだ」「パソコン?そんなものより大事なものは世の中にいくらでもある」等。こんな痛快な男は、今後二人と現れることはないんだろうなあ。2013/08/20
mike101486
5
にわか将棋ファンでも虜になって読み進める。天才集団のプロ棋士/勝負師の人間味が丁寧に書き表されている。また先崎棋士の発病の一端が分かったような気がした。余談だが各章5頁構成なのでインフルで寝込んでいたので丁度よかった。 2020/01/07