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文春文庫
虚人 寺山修司伝

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  • サイズ 文庫判/ページ数 309p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167678036
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0195

内容説明

徒手空拳で青森から上京し、草創期のテレビ界を舞台に、さまざまな人物と交流しながら名声を求めていった寺山修司。だが俳句、短歌、ドラマといった彼の作品は、「模倣」の連続であった。「都会と地方」、「現実と虚構」という二つの軸から、寺山修司のバーチャル・リアリティ(仮想現実)性を明らかにする。

目次

第1章 老母買ふ町
第2章 自己なき男
第3章 空にまく種子
第4章 祖国はありや
第5章 新しき家具
第6章 テレビの死霊

著者等紹介

田澤拓也[タザワタクヤ]
1952年、青森県生まれ。早稲田大学法学部・第一文学部卒業。出版社勤務を経て、ノンフィクション作家に。著書に『ムスリム・ニッポン』(小学館。第4回21世紀国際ノンフィクション大賞優秀賞)、『空と山のあいだ』(角川文庫。第8回開高健賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぐうぐう

14
寺山修司という稀有な作家を、剽窃という観点から読み解く評伝。寺山に盗作疑惑が付きまとっていたのは有名だが、それが中学時代の短歌からすでに行われていたことに驚かされる。しかし寺山に、罪悪感はない。世界をコラージュし、そこから自分を表現する手法を、寺山は信じているのだ。その大らかさ、または自己顕示欲の強さが、事実、寺山を個性的な芸術家へと導いていく。同時に、青森と東京という絶対的な格差、距離感が、ひとつの屈折として、寺山の生き方から滲み出してくる。(つづく)2013/02/19

つちのこ

3
寺山修司の人生も作品も「大ウソの塊」だったという帯の文句に惹かれ、ページをめくった。寺山の少年期からの盗作疑惑と虚言を繰り返す像はにわかに信じがたく驚きであったが、それが事実だとしても後年の寺山が残した仕事には意味がないことに思えた。天井桟敷を旗揚げし、その戯曲はすぐれた表現力で支持を得ているのは周知の事実。『書を捨てよ、町へ出よう』で知った寺山修司は、私の中ではいつまでも光を放つ、青春時代の寺山のままである。(2005.11記) 2005/11/02

zatugei

1
幼少期から天井桟敷旗揚げまでの寺山修司の評伝。マスコミとの関わりで、寺山と交流があった人たちからの聞き書きから、その姿を描き出している。剽窃というのが、寺山の子どものころからついて回る言説だと知った。剽窃というより『コラージュ」だと思う。「短歌研究」で新人賞を受賞した連作「チエホフ祭」だが、タイトルは編集長の中井英夫だというのは意外だった。2021/12/01

タカボー

1
人物伝はその人に対するオマージュがあると思うんだけど、あまり感じられなかったなあ、あとがきを読むまでは。ギラギラした欲深い人間くささ、嫌いじゃないけどね。接点のある人物がビッグネームばかりで凄い。本題と離れるが、接する人間が自分を作っていく。この本で自分に影響があるとすれば、その点です。2017/02/05

0
寺山修司は、作品よりも作家が面白いと目星をつけていたが、かといって熱烈な崇拝者の讃辞を読んでも仕方がないので、ちょっと露悪的な本書がちょうどよかった。ここから寺山に踏み込むことで、いくつものレベルでのコラージュの名手としての寺山、またパクっていくなかでも一貫していたテーマ(母子、田舎、ボクシングやブルースetc.)、そして「のぞき」がどれくらいにテーマに噛んでいたのか、といったあたりに注目できそう。2022/10/21

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