内容説明
他人の目を気にし、人をうらやみ、成功することばかり考えている「僕」は、高校卒業後、アメリカの大学に留学するが、いつしか社会から脱落していく。しかし、人生における一発逆転を狙って、ついに小説家デビュー。かつての級友の死を題材に小説を発表するが…作者の実人生を思わせる、青春ミステリ小説。
著者等紹介
西沢保彦[ニシザワヤスヒコ]
1960年、高知県生まれ。米国エカード大学創作法専修卒。高知大助手等を経て、執筆活動に入る。「聯殺」が第1回鮎川哲也賞最終候補作となる。本格ミステリを愛し、パズル的要素を盛り込んだ独自の作風で多くのファンを魅了している
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
108
ミステリー要素が薄いダメ人間物語って感じ。どこまでが作者に近いのか?2016/07/21
ミーホ
39
知念先生の作品に西澤キャラみたいな人が出てきたので、無性に読みたくなり《もったいぶり積読本》から切り崩す。が、あんなエキセントリックな人は出てこなかった。序章の死亡記事がなかったら奥田英朗(好き)の青春小説かと思ってしまうくらい平和だ。誰しも自分が一廉の何かになれると、程度の差こそあれ思い込む時期があれど、それをこじらせたまま主人公が大人になっていく過程が痛くて痒くて本当に辛いw アメリカ留学で「あら?」と思ったが、西澤さん吹奏楽部?解説で一気に興味深い作品となってしまった。早く忘れてまた再読しよ!!2016/09/25
ヒロユキ
34
序盤は主人公と自分の共通点を見つける度に重い気持ちになりました。それでも歳を重ねるごとに更新される彼の最悪さにはさすがに引いたけど。最後に待ち受ける結末、主人公がそこに至る道筋を考えるとさすがにしんどい。この本はいい意味で心臓に悪い推理小説だと思いました。2012/11/06
Walhalla
30
ミステリー×青春小説です。いつもの西澤保彦さんの作品を期待して読むと、ちょっと違いますね。最後まであっさりした展開で、やや盛り上がりに欠けるのは否めない印象があります。著者の作品は、やはりロジカルにゴリゴリ押しまくる物語の方が好みです。2024/05/15
おうつき
28
著者の自伝的な要素もある青春ミステリー。自分は才能があるという根拠のない自信、心の何処かで他者を見下している自分、自分の能力の限界を認められない自己欺瞞…。思春期の頃の自分ともリンクして、読んでいて胸が苦しくなった。読んでいるうちに謎解きの要素は割とどうでもよくなってしまった。青春時代の闇を描いた作品としてみれば傑作だと思う。2019/07/17