内容説明
僕たちは「その日」に向かって生きてきた―。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか…。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
昭和38(1963)年、岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務を経て、フリーライターに。91年『ビフォア・ラン』で作家デビュー。99年『ナイフ』で第14回坪田譲治文学賞、『エイジ』で第12回山本周五郎賞を受賞。2001年『ビタミンF』で第124回直木賞受賞。ルポルタージュ、時評、評論など小説以外のジャンルでの執筆活動も高い評価を受けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
942
タイトルにいう「その日」は、当然「その日」のこと。ここからして、もう涙に向かう用意がなされている。読む前から通俗的な感傷が横溢すること、あたかも大衆演劇のそれのごとく(これが言い過ぎなのはわかっている)、シチュエーションの予定調和への展開も予想される。そう、まるで「フーテンの寅さん」のようにだ。書く方も、読む方もそれを重々に承知したところに物語が紡がれ、完結に向けて流れてゆく。それでもやっぱり不覚にも涙してしまう。こんな見え透いた手法に騙されるなよと思いつつ。そう、それこそが重松の世界である。2019/09/30
HIRO1970
537
⭐️⭐️⭐️またまた子供の本棚から拝借しました。重松さんの作品はまだ二作目ですが、死を扱う場面が多くて正直苦手な感じがありました。本作も前半では同じ感触でしたが、表題作からその前の短編もバラバラのようで全て繋がっているのがジワリと分かってきました。表題作から以降は図らずも涙が溢れてしまいました。後書きの恩師との別れにまだ涙が止まりません。名作です。2014/12/23
抹茶モナカ
533
40歳を目前にして、読んだ。この連作短編集には、その年代の人が死ぬ話で構成されていて、ズシンと響いた。送る側、送られる側。また歩き出す事。最近、中年になって、自分の健康に自信が持てないのもあって、いろいろ考えてしまった。中年で病気に倒れる人も多いし、僕自身の「その日」について、思いめぐらした。2014/03/08
zero1
506
死を描く連作短編集なのに、読んだ後は不思議と前向きになれる。誰にとっても死は避けられず、人は必ず死ぬ。だからこそ、人の死が哲学や文学での大きなテーマになっている。「その日」も、その日の前もあともドラマになる。それぞれの作品の登場人物たちは、その後どうしただろうか?想像すると楽しくなるのは、読者が感情移入するほど作品が優れているからだ。読んでいくうちに、「これは、もしかして!」と気がつく。この構成もさすが重松は上手い。読んでいて思い出したのが、重松の「カシオペアの丘で」と「東京タワー」(リリーフランキー)。2018/10/17
yoshida
476
その日は来る。全ての人にあまねく平等に。違うのはおおよその時間を知れる事、突然にその日が訪れる事。家族や友人の生と死を描く7作の連作短編集。ある意味、普遍的なテーマであり、誰しもが経験する事柄である。病や事故。突然に失われる日常。去り行く者。残された者。それぞれに苦しみや葛藤があり、死という事実を受け止めて乗り越えてゆくのだ。そしてそこに人間の力強さを感じる。読者の胸を打つ。最終章で伏線が回収されてゆく。願わくば残された者、二人で生きる事を決めた者、全ての未来に祝福があって欲しい。生死を考える良書。2016/01/25
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