内容説明
木下藤吉郎(豊臣秀吉)の手についた伊右衛門の出世は、遅々としてならない。そして日の出の勢いだった織田家に転機がきた。信長が本能寺で斃されたのである。跡目をねらう諸将の中で、いち早くとび出したのは秀吉であった。伊右衛門にも運がむいてきた。四十歳を目の前にして、彼はやっと大名になった、わずか二万石の…。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
大正12(1923)年、大阪市に生れる。大阪外国語学校蒙古語科卒業。昭和35年、「梟の城」で第42回直木賞受賞。41年、「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊池寛賞受賞。47年、「世に棲む日日」を中心にした作家活動で吉川英治文学賞受賞。51年、日本芸術院恩賜賞受賞。56年、日本芸術院会員。57年、「ひとびとの跫音」で読売文学賞受賞。58年、「歴史小説の革新」についての功績で朝日賞受賞。59年、「街道をゆく“南蛮のみち1”」で日本文学大賞受賞。62年、「ロシアについて」で読売文学賞受賞。63年、「韃靼疾風録」で大仏次郎賞受賞。平成3年、文化功労者。平成5年、文化勲章受章。平成8(1996)年没
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感想・レビュー
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三代目 びあだいまおう
280
パンピー山内(伊右衛門)一豊の成り上がりサクセスストーリー第二巻。美しき妻千代の聡明な内助の功が冴え渡る!前巻終盤に語られた馬の購入シーンは天晴れ❗信長が死に、時代は秀吉に軍配をあげ、後半はその秀吉の飽くなき浪費癖と猜疑心で民は困窮、世は狂い始める。男性諸氏は「自分にも千代のような素晴らしい女性がいればなぁ!」と羨むだろう。しかし羨む前に自身を磨き、謙虚で素直で時に果敢に我が身を捨てて事に挑む『魅力溢れる男』を目指すべきだろう。世にたくさんいる素晴らしい女性が放っておかない男に‼️私もかくありたい‼️🙇2019/01/24
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
113
本能寺の変。信長の死。これを境に秀吉とそれに従う一豊の運命も大きく変わっていく。秀吉は天下人へ、石田三成など才ある若き武将達も大大名に。だが、愚直だけが取り柄とも言える一豊は株式会社秀吉の万年係長。それでも遠州掛川六万石の大名となったのはやはり内助の功か。その秀吉も晩年は失政が続く。さて、次は天下分け目の戦に向かうのか。2017/12/04
つーこ
96
常に明るく前向きな千代は本当に尊敬に値する。ちょっと「のほほん」とした夫を叱ったり尻を叩くのではなく、夫が気づくようヒントを与えたり、頑張れるよう励ましたり。話は本能寺の変から秀次の切腹まで。この時期は生き生きとした秀吉が描かれていて、周囲も続々と大名に取り立てられる。だけでも主人公である一豊はやはりぱっとしない。ギラギラと立身ばかりを狙っている人が多い中で、彼は奇特。でも彼と千代をみていると、こういう生き方もありだよね〜と思えて来る。2019/10/06
さつき
95
2巻の最初は本能寺の変、中国大返し、天王山、賤ヶ岳と戦乱が続く。パッとしない印象だった伊右衛門もついに大名に!激動の時代の潮目を読み、時流に乗れたのは律儀な性格を認められたことも大きかったのですね。秀次事件の陰惨さに胸焼けしつつ、この局面も無事に通り抜けられた山内家にはツキもあったのでしょう。次の時代を見据えて生きる強かさが心に残ります。2021/09/22
TATA
94
一豊と千代のコンビネーションは更に冴え渡り、生き馬の目を抜くこの時代を大過なく手を携え歩んでいく。相変わらず千代の賢妻ぶりに凡庸な一豊との筆。もはやおかしみを超えてかわいらしささえ感じるな(笑)。関東平定、秀次切腹と時代は流れ話は後半へ。2018/12/16