内容説明
嘉永六(1853)年、ペリーの率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕か、をめぐって、国内には、激しい政治闘争の嵐が吹き荒れる。この時期骨肉の抗争をへて、倒幕への主動力となった長州藩には、その思想的原点に立つ吉田松陰と後継者たる高杉晋作があった。変革期の青春の群像を描く歴史小説全四冊。
著者等紹介
司馬遼太郎[シバリョウタロウ]
大正12(1923)年、大阪市に生れる。大阪外国語学校蒙古語科卒業。昭和35年、「梟の城」で第42回直木賞受賞。41年、「竜馬がゆく」「国盗り物語」で菊池寛賞受賞。47年、「世に棲む日日」を中心にした作家活動で吉川英治文学賞受賞。51年、日本芸術院恩賜賞受賞。56年、日本芸術院会員。57年、「ひとびとの跫音」で読売文学賞受賞。58年、「歴史小説の革新」についての功績で朝日賞受賞。59年、「街道をゆく“南蛮のみちI”」で日本文学大賞受賞。62年、「ロシアについて」で読売文学賞受賞。63年、「韃靼疾風録」で大仏次郎賞受賞。平成3年、文化功労者。平成5年、文化勲章受章。平成8(1996)年没
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感想・レビュー
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遥かなる想い
191
吉田松陰から高杉晋作へと続く尊皇攘夷・倒幕への流れを丹念に描いた作品。彼らの視野の広さが幕末の過激なまでの尊皇攘夷を破滅から 救ったような気がする。2010/07/31
ゴンゾウ@新潮部
119
長州藩の志士達に多大な影響を与えた吉田松蔭。まだまだ序盤、西洋列強の来襲を憂い諸国を巡る旅を続ける。ペリーの黒船がありいよいよ憂いが現実のものになる。倒幕の原動力となった思想家がいよいよ動き出す。2018/11/17
thee birdmen
117
時代背景の描写が多くて松陰の人格形成の過程がしっかりと伝わってきます。学者を純粋培養しようとする長州藩と、混じりけなしに真っ直ぐ学問と向き合う松陰。そして国を揺るがすペリー来航。まるで仕組まれたようなシナリオ。。。面白くないわけがないです。2016/02/05
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
115
最近大河ドラマに合わせて司馬遼太郎を読んでいる気がします。昨年は「播磨灘物語」そして今年はこの「世に棲む日日」。幕末の長州の思想を築いた吉田松陰、そしてその思いを引き継いだ高杉晋作の物語。とはいえ、冒頭で「長州の人間のことを書きたいと思う」と言ったように、この二人を軸に長州藩がなぜ討幕の主役となりえたのかがつづられてゆくのであろう。第一巻のクライマックスは黒船襲来。松陰の思想に大きな影響を与える事件。さてさて次は・・・。2015/04/17
yoshida
112
幕末の長州藩を吉田松陰、高杉晋作を軸に描く。1巻は吉田松陰の生い立ちから脱藩、ペリーの砲艦外交による日本の危機まで。吉田松陰の純粋さ、思い立ってからの行動の早さはやはり驚く。司馬遼太郎作品なので記録文学ではなくエンタメ作品。割りきって楽しく読む。2014/11/24