内容説明
でっちあげの事件を法廷に持ち込み、贈収賄の現場を最新鋭の機器で盗聴・盗撮するという捜査が、大胆かつ用意周到に進められていく。囮となったロビー、弁護士補助職員として事務所に送り込まれたFBI女性捜査官イーヴォンの心の葛藤を描きつつ、緊迫した人間ドラマは予断を許さぬ結末へと一気に突き進む。
著者等紹介
トゥロー,スコット[トゥロー,スコット][Turow,Scott]
1949年、シカゴ生まれ。スタンフォード大学大学院で創作を学んだ後、同校で講師として文芸創作を教えていたが、志望を変更、26歳でハーヴァード・ロースクールに入学、法曹界を目ざした。シカゴ地区連邦検察局の現職検事補時代に執筆した「推定無罪」を87年に発表、一躍“時の人”となる
二宮磬[ニノミヤケイ]
1945年、静岡県生まれ。慶応義塾大学法学部卒業
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
智哉
12
個性的な人物も強烈なエピソードも見当たらず、なかなか身が入らなかったが、トゥーイの登場でようやく面白くなった。無理やり言わせたような捨て台詞やコースターのメモが、裁判で決定的な証拠になり得るのだろうか。何とでも言い逃れできるような気がする。2018/07/07
bionic_giko
3
【上巻からの続き】 最後は悲しかった。 最初は誰もが主人公の「いい加減さ」に閉口する。他の登場人物も。多分どんな読者もするはず。でもだんだんと彼の人としての「芯」が見えてくる。そうしたらそれが「憎めない人物」、私にとっては「魅力的」にさえ感じるようになるのだ。正直さや強さや、そういうものに惹かれずにはいられない。 「嘘」がいいとは言わないけど、それがその人の不誠実さを決めるものでもないと思う。これまでなんとなく曖昧だったことが、自分の中にはっきりと見えた気がする。
向う岸
3
☆3 (上巻より続く)味方である捜査員の鼻面を引き回すロビーの悪党ぶりや、積み上げてきた動かぬ証拠を捜査対象に突きつける痛快さは良かった。そしてあの結末も悪くない。ただ、この長さはマイナス材料だと思う。2011/10/11
Tetchy
3
書きたい事は沢山ある。しかしこういう濃厚な作品を十全に語る事は非常に難しい。ここに書かれない千にも渡る数々の感想は胸に秘めておこう。後に出た『死刑判決』を先に読んだ御蔭でジリアン・サリヴァンという人物を実に深く心にとどめることが出来た。今回では単なる贈賄事件に関わった判事の一人としてしか描かれず、登場人物表にも載っていない。もし先にこの作品を読んでいたら『死刑判決』でのサリヴァンの復活を思い出す事はなかっただろう。トゥロー作品は寧ろ、最新作から第1作へ遡って読む方がキンドル郡を愉しく歩けるのかもしれない。2009/08/31
おっさんB
1
裁判所を舞台とした贈収賄事件の捜査に送り込まれた女性FBI捜査官の自宅に空き巣が入り、いよいよ捜査官の身分を隠蔽も困難になる一方、黒幕の証拠を掴むことはできずにいた…あぁ、なんとか、最後まで読み切ったよ。でもなんだろうな、この中途半端な読後感は。この小説には実際の事件がベースになっているというのだが。2024/12/07
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