内容説明
念願の詩集を出版し順風満帆だった婚約者の突然の自殺に苦しむ相場みのり。健診を受けていないのに送られてきたガンの通知に当惑する佐藤まどか。決して手加減をしない女探偵・葉村晶に持つこまれる様々な事件の真相は、少し切なく、少しこわい。構成の妙、トリッキーなエンディングが鮮やかな連作短篇集。
著者等紹介
若竹七海[ワカタケナナミ]
昭和38(1963)年、東京生まれ。立教大学文学部卒。平成3年、「ぼくのミステリな日常」で作家デビュー
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hitomi.s
200
再読。若竹さん、面白い。この、少なすぎず多すぎず毒っぽいところがいい。小気味よいテンポ。時々読みたくなる葉村晶。2018/12/27
ハゲおやじ
200
この作者は、3冊目。葉村晶の短編集。「後味の悪い終わり方だが、癖になる」との評価だったが、確かにそうだった。スカッとする本では無いが、結末が予想出来なくて(私のレベルの問題だよね)ついつい読んでしまった。動作等の表現も 今まで私が読んだ本とは 明らかに異なるものだった。葉村は優秀な探偵だと思うけど、みのりも凄いじゃんって思う”女探偵の夏休み”や「えぇ~っ!」ってオチだった”たぶん、暑かったから”と”アヴェ・マリア” 等 面白いが、青黒いアザの男って 実は葉村の別人格ってオチじゃないよね?次どうしよう…。2017/11/26
nobby
195
葉村シリーズ2作目。ほぼ40頁足らずの話が9つ並ぶ連作短編だが、インパクト充分に楽しめる。何より途中いろいろ事柄ばら撒きながら、ラストであえてバッサリ切り捨てドスンと落とす潔さがいい!晶の現実的でいてクール、時に熱血のなす暴走っぷりが憎めない故か、そのダークでなかなかに後味悪い結末に嫌な気分にさせられるのがもう病みつき(笑)最初から登場の首に青あざの男と対決な最終編は、次々と押し寄せる悪意に振り回される晶達にハラハラしながら一気読み。最後で所長が指摘する“自殺”への向き合い方聞いて、その構成になるほど!2017/12/05
ぷう蔵
167
静かなる炎天を読み、葉村シリーズを読もうとこの作品を手に取り読了。なんともついてない女探偵にどうやって至るのか?興味津々でスタートといったところである。しかし若竹氏、登場人物の描写が面白く巧みである。独特の言い回しで表現して頭の中にそれぞれの人物像を創り上げる。(と言うか創り上げさせられる…か。)この作品では、まだまだついてないという感じは表には出てきていないが、今後どんな不運が待ち構えているか、非常に楽しみである。短編ミステリーもイイですね〜。最後に背中がぞわわわ…、って。2017/03/29
bunmei
154
初読み作家の探偵ミステリー。しかし本格的な探偵が活躍するわけではなく、探偵事務所にパートで雇われた葉村晶が、渋々依頼事に首を突っ込んでは、その真相に迫っていく9編の短編集。一つの事件における加害者と被害者の置かれた立場は、表面からは隠れて視えない部分がある。しかし殺傷する様な事件に至るには、犯人にしかわからない、心の襞に蓄積された動機や激しい衝動がある。そんな事件の陰にスポットを当てながらも、各編のラストは人の奥底にある怒りや恨みを意味深で曖昧な表現によって、余韻を漂わせて集結させる怖さがある。2024/07/03