文春文庫
女塚―初期作品輯

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  • サイズ 文庫判/ページ数 332p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167654054
  • NDC分類 918.68
  • Cコード C0195

内容説明

「彼」は文学を志し、カフカを学んだ。広告代理店を辞め、総会屋雑誌で働き、ついにすべてを捨て去って「無一物」となる決意をする―。十二年間の己れの姿を凝視し、脂汗を流しながら書き続けた壮絶な八つの作品。小説、エッセイ、アフォリズム…、まごうことなき「車谷長吉」の世界がここにある。

著者等紹介

車谷長吉[クルマタニチョウキツ]
昭和20年、兵庫県飾磨市(現・姫路市)生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。広告代理店、料理屋などで働きながら小説家を目指す。平成5年『鹽壷の匙』で三島由紀夫賞と芸術選奨文部大臣新人賞、平成9年『漂流物』で平林たい子文学賞、平成10年『赤目四十八瀧心中未遂』で直木賞を受賞。平成13年には「武蔵丸」で川端康成文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

メタボン

30
☆☆☆ 初期作品集ということで生硬な感じの文章。文学青年もどきと言っては失礼だが、後の鬼気迫る文章にはまだ遠い。ただ、アイスキャンディを食べない「罪」という短篇には車谷ワールドの萌芽を感じた。2020/12/03

ω

26
車谷先生を敬愛する私ω。 4つの創作と4つの評論。先生の中がよく見えました。でも車谷先生ファンじゃないと厳しいかな!? 蛙がくしゃみをして井戸に落ちちゃう小説だけは面白い。他はもう内省というか思想ですな。ふー!疲れた?2019/01/23

たんたん麺

11
「我々が他人と話しているとき、まず一番に心掛けようとしていることは、自分が誠実であることよりも、誠実なる自分を相手に認めさせ、認めてもらうことです」Sは、人間の行なっていることは「自分で自分を認める前に、まず、他人に自分を認めてもらうことによって自立を図り、そのあとで、その他人に認めてもらった自分を無条件に受け入れてしまおうとする空しい自己主張にほかならないのです。人間にとって真実とは、つねに、自分が他人の目に晒されていると云うことです。つまり、衆目の晒し首の刑に処せられていると云うことです」2014/09/15

冨井 丸

2
★★☆☆☆ 一言で言えば、いくつかはそれなりに面白かった。私は車谷長吉のファンなのでどうしてもひいき目で読んでしまうしそれなりに興味深かったけど、初見の人は楽しめない気がする。車谷長吉が車谷長吉になる前の作品集。だけど片鱗はそこかしこにあった。若い時から偏屈で神経質で不器用だったんですね…。カフカのカの字も知らないくせに掲載のカフカの論文を2つとも完読した。もちろんチンプンカンプン。最後の年表は大変興味深かった。さらりと衝撃的な1文が多くて、短編にして詳しく聞かせてもらえませんか、と強く思った。2022/12/16

stan

0
小説4作、エッセイ2作に大学時代の論文2作(主題は共にカフカ)を集めた初期作品集。ここには、むせ返るような情念で自らの生を私小説として描いた車谷長吉はいない。カフカ同様、生きることの不条理性を寓話的に描こうとした試行錯誤の跡が残されている。その後の車谷作品は、一見カフカとは遠いようにみえても、カフカ的な世界への認識が通底していることがよくわかる。2021/06/02

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