出版社内容情報
フェイルセーフ・ゲーム理論・インターネット、市場原理主義、ネオコン、イラク戦争……現代史を彩る理論と人間は、ここからやってきた。
内容説明
対日空爆戦略を指揮した男たちが作り上げた軍事シンクタンク―「ランド研究所」。政治から経済まで様々な分野でアメリカ戦後史を陰に陽にリードし続けた天才たちの遺産は、ゲーム理論、システム分析、インターネット、合理的選択理論と、今なお私たちのマインドを支配し続けている。初の本格ノンフィクション。
目次
第1部 ランド誕生―1946‐
第2部 軍産複合体に成長―1950‐
第3部 ケネディとともに―1960‐
第4部 ペンタゴンペーパーの波紋―1970‐
第5部 アメリカ帝国―1980‐
第6部 そしてこれから―2000‐
著者等紹介
アベラ,アレックス[アベラ,アレックス][Abella,Alex]
キューバ生まれ。10歳のときに家族とともにアメリカに移住。コロンビア大学を卒業ののち、カリフォルニアで新聞記者の職に就く。ニュースチャンネルのプロデューサーなどを経て、「ロサンゼルス・タイムズ」の寄稿記者
牧野洋[マキノヨウ]
1983年、慶応大学経済学部卒業、日本経済新聞社に入社し、88年、コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクール卒業、修士号取得。ニューヨーク駐在や編集委員を経て、2007年に独立。米国在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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harass
37
アメリカである軍事研究組織が第二次大戦直後に設立された。対日空襲を指揮したルメイ空軍大将を中心に、最高の頭脳の持ち主たちが新たな敵ソ連に対して様々な研究を行なった。シンクタンクのはしりだ。ランド研究所は空軍のみならず米国政府に提言を行い現在も強い影響力を保っている。研究所の出身者とアドバイザーからノーベル賞受賞者が29人もでたという。実に優秀であるが傲慢で癖のある実在の人間たちと米の歴史。米戦後史を少しかじっておけばさらに面白い。ハルバースタムの著作を読んだ人であればぜひ。正直文章は少し硬い。2016/02/16
ボルボン
9
フィクションが現実になったようで面白かった。2017/03/13
Hiroshi
7
1946年に平時にも科学技術力と軍事力を統合させようという欲求からうまれた機関がランド研究所だ。最初は航空機製造会社の一部門だったが、2年後にNPO法人となる。シンクタンクは多くあるが、ランドほど世界に影響を与えたシンクタンクはない。現在の「小さい政府」の考え方を元となる合理的選択理論やインターネットの元になるパケット通信を開発したのはランドなのだ。このランドがどのように変遷していったかを基地研究と多重安全装置を考案したアルバート・ウォルステッターの動きから見ていく本。妻は『真珠湾-警告と決定』の著者だ。2024/05/26
takao
3
ふむ2021/04/13
hexia
3
米国の軍事や外交に多大な影響を及ぼしたランド研究所の、発足からの足跡をまとめたもの。ランドの歴史を綴るということは、WW2後のアメリカの歴史をたどるということでもあり、冷戦やキューバ危機、ベトナム戦争の挿話はそれ単体でも興味深かった。対テロ戦略やネオコンなどの、現在も有効な政治思想もその淵源にはランドの研究者が関与していることが多く、その意味で現代政治を理解するにも興味深い書ではなかろうか。対ソ戦略を練る上ではボードゲームを多用したという記述があり、いつ機密が解除されるのだろうかと純粋に楽しみである2012/05/06